峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2022 >  洗足流れ・六郷用水・二ヶ領用水



2022年10月2日(日)


ここ最近、多摩川周辺の小さな川や、せせらぎ、そして遊歩道を巡ってきた。

そして昨日に引き続き、今日も快晴に導かれて午前中から走り出す。

さて、今日のテーマは? 


今回も「遊歩道」に関連して、池や小川、せせらぎ、用水路・・・いいね、いいね、そうだ、ひらめいちゃった。

今日のスタートは大田区の洗足池から。

源頼朝愛用の名馬「池月」、リニューアルされたばかりの「池月橋」がある千束八幡神社から走り出す。


洗足池には、「勝海舟夫妻墓所」と「勝海舟記念館」がある。

令和元年9月に開館した新しい記念館だが、まだ中に入ったことがない。

今ちょうど「渋沢栄一と勝海舟」を読んでいるので、お勉強してから見学することにしよう。


中原街道を渡り、洗足池駅の先から「桜のプロムナード」という静かな小道が始まる。


桜のプロムナードとは
桜のプロムナードは、桜と水をテーマとした散策路です。洗足流れや旧内川など、かつて人の暮らしを支えた水の通り道をコースに位置付けています。また、これらの水路跡は現在、緑道として整備され、大田区の主要な桜の見どころとなっています。

今昔の水の通り道を辿たどりながら、桜の見どころを巡ってみてはいかがでしょうか。桜の時期はもちろんのこと、一年を通して四季を感じることができます。

洗足流れは、かつて農業用水として周辺の田畑を潤すために利用された水路でした。現在は散策路として整備され、住民の憩いの場として親しまれています。

https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/sumaimachinami/douro_kouen_kasen/sansakuro/sakurapromenade.html



荏原病院の先は一段と道が細くなり、歩行者のための小道が続く。

住宅街の庭先を歩いていくようなプロムナードは、多くの緑に囲まれてとても落ち着く。


「洗足流れ」と呼ばれる復元水路には多くの鯉が生息している。

こんな細く狭い所でよく生きているな、と驚くばかりだ。


呑川に突き当たるが、今日は呑川はパスして久が原方面へ向かう。

車道の両側に久が原の商店街が広がっている。左右に多くのお店を眺めながらのんびりと走る。

池上線の久が原駅を渡り、環八を越えると六郷用水が近づいてくる。


解説板には次のような説明が書かれている。

六郷用水の由来
六郷用水は、徳川家康が家臣小泉次太夫に命じて、六郷領 (大田区の大半) 農村の灌漑を目的として、 開さくされた農業用水である。

徳川氏は、江戸支配の基礎作りの一つとして、多摩川の治水を行い、中流より分水して農業用水を引き、 江戸南郊農村の生産性の向上をはかった。この時、川崎側の川崎、 稲毛領のための「二ヶ領用水」も同時に工事が進められ完成している。

六郷用水は、 和泉村(現在の狛江市和泉)を取水口とし、慶長二年(一五九七)に測量を始め、難工事の末、同十四年に主要水路が完成しその二年後、 各村の分水路工事も終わり、 全事業が完了した。 この結果、 世田谷領の一部と六郷領を合わせて約五十ヵ村が恩恵をうけることになり、以後、 近代まで農民の命の綱として利用された。

 時代とともに、 用水流域の様子も、 水田から畑に、 また農地から宅地に変わり、昭和の初めごろには用水としての使命を終え、現在ではそのほとんどが埋めたてられ緑道などになっている。



いつもは詳しく読むこともない解説だけど、今日はじっくりと読ませてもらった。

六郷用水がこの地域の発展に、いかに役立ったのかがよくわかる。

地域の歴史や文化を学ぶのに、こうしたテーマを持って走るのも実に勉強になる。


天気も良く日曜日ということもあって、多くの人が六郷用水を訪れる。

静かな小道に適度な休憩所が設けられていて、散歩するのに最適だ。

テレビ撮影の下見だろうか、カメラアングルを検討している姿もあった。


途中の「真言宗智山派 密蔵院」でトイレ休憩させてもらう。

その先に、「ジャバラ」と言われる足踏み水車の模型が水路に置かれていた。

これを使って早春や干ばつの時に、羽根を踏んで田に水を揚げていたという。果てしなく過酷な作業だ・・・


その先丸子橋が近づいてくると、皆立ち止まって何かを覗き込んでいる。

何がいるのかと思ったら・・・カメさんでした。それもかなり大きなカメ!

何という種類のカメかわからないが、数えてみたら・・・あっちにも、こっちにも、合計10カメさんでした。


いやいや、六郷用水はなかなか楽しいじゃないですか。

こんな素敵な小道も、自転車で走り抜けてしまっては実にもったいない。

ゆっくりカメさんを探しながら歩けば、また違った楽しみを味わえる。


丸子橋を渡って、昨日訪れた中丸子緑道を再び行く。終点から今度は「中丸子南緑道」に入っていく。

小さな緑道だが、散策マップに紹介されていたので中に入ってみる。

素敵にレイアウトされた、大きな花壇の中を行くような感じだ。ここも人の姿は見えない。


中丸子南緑道
渋川 (シブッカ) を暗渠にした緑道です。

地域の人達の努力で一年中花の絶えない公園となり、 初夏に群れ咲くアジサイも見事です。

玉川小学校の児童達による壁の絵も楽しい、やすらぎの場所です。


あっという間に通り抜けてしまう緑道だが、休憩所にはこんな掲示板が設置されている。

地域の方が一生懸命に管理しているようで、ファンの方からの感謝の手紙が掲示されていた。


車道を越えると、「北谷町緑道」と変わるが、わずか100mほどの長さしかない。

昨日と同じくJR線を越え、今日は渋川を北上して中原平和公園へ出る。

ここの公園もゆっくりしたい公園だ。野外音楽堂があり、広々とした芝生で遊ぶ子供が楽しそうだ。


この平和公園内を二ヶ領用水が流れている。何ともまあ贅沢な作りになっている。

まっすぐな用水路の道は、映画の撮影にでも使えそうな雰囲気だ。

用水路脇まで降りることができ、ベンチに座ってのんびりくつろいでいる家族の姿も見える。


公園の先は二ヶ領用水に沿って北上する。

雰囲気のいい東屋もあり、ポタリングでもお散歩でも楽しめそうな小道だ。


東横線の武蔵小杉駅付近は人も多く、繁華街の中を抜けていく。

二ヶ領用水は、住宅街の中を縫うように流れていて、人ひとりがやっとすれ違えるような所もある。

そんな探検しているような雰囲気が楽しく、ワクワクする小道だ。


一旦二ヶ領用水を離れ、渋川へ寄り道してみる。こちらも実にいい雰囲気のせせらぎだ。

遊歩道の作りがおしゃれで美しい。道路脇からすぐに水辺に降りられるように工夫されている。

法政大学第二中・高等学校の立派な校舎を眺めて再び二ヶ領用水へ戻る。


二ヶ領用水はこの後延々と続くが、南武線を越えた今井上町付近が一番雰囲気がいい。

水辺に降りられるので、自転車を降ろして写真撮影だ。ただしここを自転車で行くわけではない。


住宅街の目の前に、こんな素敵な用水路が広がっているなんてうらやましい限りだ。

ベンチに座ってくつろぐだけで贅沢な時間を過ごせる。


「キレイに残そう! 二ヶ領用水・渋川を!!」というポスターが掲げてあった。

ホント、大事にしたいですよね、こんな素敵な環境。


「今井上町緑道」と書かれた案内が、かなり古くなってしまって文字が消えそうだ。

用水路の流れはほとんどなく、水面は鏡のように空を映し出している。


国道246号を”巨大歩道橋”で越えると、「久地円筒分水」の案内が現れる。

もうここには何度も来ているが、砂利の道もきれいになり自転車で走りやすくなっていた。


コンビニでパンとコーヒーを買って、ゆっくりとランチタイムだ。

子供たちが水鉄砲で大騒ぎしている。天気もいいので気持ちよさそうだ。

被害を受けないように、離れた所に避難してエネルギー補給だ。


「久地円筒分水」に以前来た時のレポートがこちら。

http://tougehenoshoutai.web.fc2.com/2006_05_nikaryou/nikaryou.htm


円筒分水
この円筒分水は、中央の円筒から用水を湧き上げ、その外側にある直径16mの円筒の円周から、それぞれの灌漑面積に合わせた比率によって4本の水路に流す仕組みになっています。

用水の水の増減に関わらず、一定の比率で分水するこの円筒分水のシステムは、当時としては最も理想的かつ正確な自然分水方式の一つであり、その後、近年に至るまで全国にこのシステムが採用されていきました。

二ヶ領用水久地円筒分水は、その初期の事例として、平成10(1998)年、川崎市で初めての国登録有形文化財(建造物)に登録されました。

工業都市として発展した川崎で、二ヶ領用水は本来の農業用水としての役割をほぼ終えましたが、現在では市民の憩いの散歩道として整備され、環境用水としての新しい姿を見せています。

引用  https://www.city.kawasaki.jp/880/page/0000000073.html


何度見ても美しい造形美、そして見事な仕組みだ。角がない、丸い物というのはやはり美しく優しいものだ。

自転車を並べて撮影してみると、何だか大きなホイールに見えてしかたがない。


二ヶ領用水はまだまだ続くが、今日のお散歩はここでおしまい。

参考までに、二ヶ領用水の案内マップを紹介しておこう。
https://www.seseragikan.com/400th/bunka-sansaku01.html


多摩川サイクリングコースを二子玉川へ向かう。駅周辺は大変な人で賑わっている。

橋の下はピクニック客で賑わっていて、サイクリングコースも占領されてしまって大迷惑だ。

やかましい所は御免と、さっさと通り過ぎ丸子川へ出る。


丸子川沿いもよく走る道だ。交通量は多少あるが、それでも車道も広く気分よく走れる。

いつも通り過ぎてしまう「善養密寺」に立ち寄ってみる。


せたがや百景にも選定されているそうだが、いきなり巨大な石像物がお出迎えしてくれてギョっとする。

なんだか愉快なテーマパークのようで、今度ゆっくりと見学してみよう。


ここまで「遊歩道」にこだわってきたら、やはりここも行かねばと「等々力渓谷」へ立ち寄ってみた。

「等々力渓谷」は、途中まで自転車で入っていけるのだが、いつもに増して凄い人だ。

なんだか行列ができるほど並んで順番待ちしている。


静かな時に来ると、ここが東京なのかと思うほどの美しい渓谷なのだが、今日は繁華街と化していた。

いよいよ今日のコースもゴール間近だ。最後も手を抜かず、「多摩川台公園」へと入っていく。


多摩川台公園
公園は多摩川沿いの丘陵地に約750メートルにわたって展開しており、晴れた日には遠く丹沢の山並みや富士山を見ることができ、この景色は多摩川八景に選定されています。

面積は67,154平方メートルと広大なうえ、自然林の道、古墳、展望広場、水生植物園(『調布浄水場』沈殿池跡)、四季の野草園(『調布浄水場』ろ過池跡)、あじさい園、山野草のみち、広場など見所が豊富です。

また亀甲山古墳があり、宝莱山古墳や多摩川台古墳群の散策やサクラ(約300本)、アジサイ(約4000株)、ホタルブクロ、シバザクラなど四季折々の花も楽しめます。


多摩川をこんな高い所から眺められる所はなかなかない。

この公園は穴場だ。いつ来てもそれほど多くの人を見ることはない。


常連さんは、お気に入りの場所で、お気に入りのグッズを持ってきて素敵な時間を過ごしている。

そして夕日がきれいだ。ちょっと遠くへ旅行した気分に浸れる。

「多摩川台公園」に以前来た時のレポートがこちら。
http://tougehenoshoutai.web.fc2.com/2019_12_tamagawa_banshuu/tamagawa_banshuu.htm


前に来た時と同じように、遊歩道デッキから武蔵小杉のタワーマンションと東急線を眺める。

こんな近い距離なのに、密集している景色と自然あふれる公園の対比があまりに極端だ。

公園のの真下はすぐ駅だ。こんな便利な憩いの場も珍しいだろう。


今日も実に充実したコースだった。多摩川だけでなく、その周辺がこれほど素敵なのかと気付かされた。

ちょっと人には教えたくないような、素敵な小道の連続だった。


最近訪れた、川、遊歩道、せせらぎ、用水路、渓谷の位置関係図


 
距離: 33.3 km
所要時間: 4 時間 8分 9 秒
平均速度: 毎時 8.1 km
最小標高:  9m
最大標高:  39m
累積標高(登り):  80m
累積標高(下り):  82m

(2022/10/2 走行)


峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2022 >  洗足流れ・六郷用水・二ヶ領用水

inserted by FC2 system