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2022年10月1日(土)


先週走った「なかはら歴史と緑の散策」コースで走り切れなかった部分をフォローしに来た。

今日も丸子橋からスタートする。まずは中丸子緑道に入ってみる。


車道脇に緑道の入口があるが、注意していなければ見落としてしまいそうな静かな裏道だ。

ほとんど誰も通らない、地元の人でもあまり利用していない感じの緑道だ。


先週写真を取り損ねた「無量寺」をしっかりカメラに収めて、再度緑道に戻る。

中丸子公園は立派な広場がある公園だ。子供たちや親子連れが、楽しそうにボールで遊んでいる。

多摩川のすぐ近くだが、ここの公園の方が静かでトイレも完備していて便利かもしれない。


公園の入口には「有吉堤竣工百年の碑」という立派な石碑と解説が設置されている。

周囲の雰囲気からは、ちょっと驚くような豪華な記念碑だ。さて、いったいこの方はどなた?


かなりの長文の解説を読むのにしばし時間がかかる。

読み始めると、その物語にどっぷりはまってしまって、しっかり最後まで読み終えてしまった。


なーるほど、多摩川はそんな川だったのか・・・それにしてもこの方の功績ときたら・・・

ということで、解説板を写真に撮って、文字認識アプリでテキスト化してみました(便利ですねぇ)。


〈有吉堤竣工百年の碑・解説板〉
うしろの小高い道路が、 有吉堤です。この道路、左手はその先の中丸子交差点を左折し、ガス橋手前で多摩川の堤防下に出ます。さらに橋を渡らずに進んで、天神台辺りまで続いていました。

一方右手は、そのまま進んで、下沼部小学校横を通って上丸子方面へと達し、日枝神社近くまで延びていて、合わせて2.2km ほどになります。 その有吉堤、百年前の大正5年(1916 )に竣工しました。この代用堤防築造で尽力された有吉県知事の名をつけました。

実は多摩川は、昔から大雨が降るたびに氾濫洪水をひきおこす「あばれ川」でした。多くの田畑が水に浸かり、時には家まで水浸しになりました。明治40年 (1907)、43年(1910)と大水害が続き、橋が流され、道路がくずされ、家までおし流されました。

あいつぐ大水害に驚いた国は、全国65 河川を直轄河川にして大改修にとりかかることにしました。ところが、戦争続きで財政事情が許さず、まず第一期河川の20河川を先行することにしたのです。ところが多摩川は、残り第二期河川の45河川に組みこまれて、後回しになってしまいました。

そこで大正3年(1914) アミガサ事件が起こりました。国がだめなら県に頼もうと、御幸、日吉、住吉、前田(現在の矢向)の四ヵ村民らが目印のチョンボリガサ(アミガサ)を付けて、神奈川県庁に「大挙陳情」を決行したのです。県知事は代表者たちだけと会い、しかも大勢できたことを説諭するありさまでした。

この事件がきっかけとなって、多摩川築堤期成同盟会がつくられ、運動が右岸下流域の村々を巻き込んで広がりました。
やがて有吉忠一県知事にかわると、すぐに実状調査が行われ、「道路改修に名をかりた代用堤防」という地元の要望が受け入れられ、県費負担で工事が始まったのです。工事には地元の人たちも、進んで参加しました。

ところが、対岸東京側から激しい反対運動が起こりました。対岸に堤防ができると、地元の洪水がひどくなるといって、国に働きかけ、工事中止命令を出させたのです。しかし、有吉知事はいっとき、この命令を無視して築堤工事を続行しました。

さらには、その後の国庫半額負担 (残りは地元負担)の多摩川改修工事にあたっても、二回にわたって県議会を開き、工事実現に尽力したのです。

このような、アミガサ事件から始まって、有吉堤竣工にいたる、多摩川下流域住民の築堤にかけた願いは、間もなく実を結びました。国は大正6年(1917) 地元府県の半額負担を条件に、国庫半額負担による多摩川改修事業を早めて行うことに決めたのです。

この事業は大正7年 (1918) に着工、十数年の歳月を要して、昭和9年3月 (1934)に竣工しました。
以後、多摩川沿岸からは、狛江水害を除いて、大水害は姿を消しました。

ところで、先の国からの中止命令無視で、有吉知事は始末書を書かされ、譴責処分を受けました。後年、この処分を「県民のために公利を計った」のだから、名誉な譴責だ」と回顧しています。

有吉堤竣工百年を記念して (文責・長島保)
2016 (平成28)年10月30日
有吉堤竣工百年の会



何気なく走っていた道路に、こんな歴史が隠れていたとは驚いた。

こんな緑道と記念碑に出会えたのも散策マップのおかげ。もうすっかりこの地域のファンになってしまった。

ほとんど人に会わず「中丸子緑道」の終点まで来てしまった。距離は短いが、のんびり歩けば実に楽しい。


二ヶ領用水を少々散策し、JR線を越える。その先で渋川に合流する。

住宅街をまっすぐに延びる渋川沿いを行く。この道も交通量が少なく、静かにのんびり走ることができる。


駐車している車の下に猫ちゃんを発見。近づいてカメラを向けても逃げる様子なし。

安心して住める環境なのだろう。猫の表情にそれが現れている。


渋川をずっと南下していくと、矢上川と合流する。今度は矢上川沿いに行く。

さすがにこの道は、地元のサイクリストの姿を見ることができる。


スピードが出せる道ではないので、ちょっとしたポタリング感覚で走っているサイクリストが多い。

次々と変化していく道筋が実に楽しい。こんな楽しいコースがまだまだあったのかと新発見の驚きだ。


今日もお散歩程度のつもりでやって来たが、ちょっとしたツーリング気分だ。

道路脇の雑草が伸び放題で、かなり道幅が狭くなっている所もある。

多摩川だったら多くの自転車が行き交うが、この矢上川ならこれでも十分安全に走れる。


この辺りの土地勘がないので、川がどう巡っているのかよくわからない。

GPSの画面を見ると、この先で鶴見川に合流している。そうか、そういうロケーションか。

頭の中でようやく現在地が描き出され、知らないうちにここまで来てしまったかと気付いた。


小さい川から鶴見川へ出てくると、さすがに大きく”大河”のような迫力だ。

ここでUターンして矢上川の反対側を戻る。


矢上川沿いの道も快適で、まったく邪魔されることがないので、ついつい走りすぎてしまった。

そして再び「江川せせらぎ遊歩道」へ。先週訪れて、すっかり大ファンになってしまった。


今日も素敵な遊歩道がさっそくお目見えだ。

先週はいなかった、カルガモやサギまで登場して、今日はとても賑やかな遊歩道だ。


水がきれいだ。鳥たちも気持ちよさそうに泳いでいる。

そして川の中を一所懸命覗いている家族に出会った。網や糸で小魚やザリガニを狙っている。

どれどれちょっと見せてください、と覗いたらザリガニ2匹に小さな魚がたくさんいました。


自分が子供の頃は当たり前の光景だったけれど、今となってはこんな遊びも出来なくなった。

なんだかこの家族の無邪気な姿を見ていると、この川の素晴らしさが伝わってくる。


「せせらぎ遊歩道」とは実に素敵な名前をつけたものだ。

その名の通り、素晴らしい小川と小道が続く散歩道だ。

終点まで来ると武蔵新城の駅も近く、交通量が増えて遊歩道も騒々しくなってくる。


後は多摩川へ出て、サイクリングコースを丸子橋まで戻る。

13時から走り始めて約3時間のショートコースであったが、中身はかなり充実していた。


まったく飽きさせない変化ある景色と、いくつもの川をつないだ実に面白いコースであった。

16時を過ぎると日も傾き影が長くなってきた。最後は丸子橋から多摩川河川敷を眺めてゴールだ。


 
距離: 28.7 km
所要時間: 3 時間 7分 20 秒
平均速度: 毎時 10.0 km
最小標高:  3m
最大標高:  17m
累積標高(登り):  27m
累積標高(下り):  33m

(2022/10/1 走行)


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