峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2022 >  国東半島・磨崖仏巡り@



中津駅 〜 中津城 〜 宇佐神宮 〜 豊後高田


プロローグ


大先輩の大御所から2泊3日のツーリングのお誘いが来た。

「国東半島、磨崖仏を巡るツーリング」いかがですか? ときた。


ちょうど一人で、九州、大分の自転車道辺りを走ってみようかな? なんて考えているときだった。

あまりに考えていたプランが近かっただけに驚いてしまった。もちろん、即刻OKの返事。


そんなことで今回のツーリングは始まった。

ずっと誘われ続けている下北半島ツーリングの企画も、コロナの影響で中止続き。

今回こそ何としてでも一緒に走りたかった。


「せっかくですから仲間にもお誘いください」・・・なんてお言葉を頂き、ちょっと皆に声をかけてみたら・・・

結局、総勢7名の大所帯となった。やっぱり、企画がいいんですね。皆さん、九州行ってみたいんですよ。



私にとっても国東半島は、残された未踏の地。まったく予備知識もない。

国東半島となれば、やはり綿貫ワールド。NC173号のこの紀行文だ。

しかしあまりに難解な情景や文章は、訪れたことのない人間には遠い世界のようだ。


磨崖仏とは何ぞや? 行く前に少しでも予習しておこうと、図書館で本を借りてきて勉強する。

うーん、わからない・・・奥が深い。やはり自分の目で見るしかない。


さて当日の天気だが、ここまで晴天に恵まれるか! ってぐらいにしばらく天気は問題なしだ。

まったく雨の気配はなく、一部のメンバーは4日目以降も走る予定だそうだ。


今回のツーリングのメインは2日目の磨崖仏巡り。

多くの磨崖仏を効率よく巡り、この目で見て、峠を越えて海岸へ出る・・・という豪華プラン。

出発直前になって、あらためて詳細を見てみると驚愕のプランだった。


磨崖仏見学は時間がかかる。あっという間に1時間、2時間のロスタイムが発生する。

当初予定の「コース1」プランでは、まず走り切れないだろうと、急遽「コース2」「コース3」を提案する。

あとは当日、現地での状況判断だ。


結局、3日間の走ったルートは以下のようになった。

これから3日間のツーリングの様子を詳細に紹介していく。


それにしても、初めての国東半島ツーリングは奥が深かった。

歴史と文化を学ぶ、それはそれは重みのある素晴らしいツーリングだった。


2022年10月18日(火) 1日目


さすがに九州は遠い。東京から新幹線・特急を乗り継いでも、午前中はほぼ移動で終わる。

東京駅から4名、新横浜から1名、京都から1名、そしてカーサイ1名という面々。

勉強用にコピーしてきた冊子を眺めながら朝食を頂く。


6名が同じ車両に輪行袋を置くわけにいかず、事前の打ち合わせで前後の車両に分散して置くことにした。

最後列の座席を確保していないため、輪行袋の置き場所には苦労した。

デッキに置いていたら、車椅子が降りられないと呼び出され、急遽場所を移動するなんてこともあった。


JR東海は、なにかと面倒くさいね。優しくないよ、自転車に。私はJR東日本が好きだな・・・

小倉からの特急は、置く場所が有り余るほどの余裕。ありがたいね、こういう列車は。


中津駅に降り立った輪行組の面々。

組み立てているところに、カーサイのメンバーが合流。


無事に揃った今回の7名の自転車を紹介しよう。

すでにお馴染みの自転車もあれば、今回初登場の自転車も。

それぞれ個性あふれるスペシャルマシンの勢揃いだ。

解説不要。いや解説不可能。

オールドパーツをふんだんに使いながら第一線の走り。

床の間自転車ではない、ちゃんと走れるマシンたちだ。

ランドナーの美しさ、ツーリング車の魅力をご覧あれ。


さあ、国東半島ツーリングの始まり始まり〜なのですが、まずは腹ごしらえ。

頼んだのはこれ。肉ごぼう天うどんに、中津名物のから揚げのセット。もういきなり満腹〜


今日は半日の行程だから、内容もほぼ観光だ。まずは福沢諭吉旧居へ向かう。

といってものんびり見ている時間はないので、眺めて写真を撮って終わりだ。


中津城で記念撮影。観光客もほとんどいなく、静かな走り始めとなった。


中津城本丸北側・黒田氏時代の石垣

中津城の北側には、黒田孝高の築いた本丸跡と細川忠興の増築跡の石垣が好対照を見せている。

黒田は戦乱の時代に本丸にふさわしい堅固な石垣を組んだのに対し、細川は平和時に加工していない自然石を使い合理的に石組みを行った。

両時代の石垣とも、花崗岩を多く使っている。

左が細川氏時代、右が黒田氏時代の石垣

参照 https://tabi-mag.jp/ot0758/ 
 


見た目には今にも崩れ落ちそうな石垣だ。そして石垣よりはみ出ている本丸が実に特徴的だ。

敵が攻めてきたときのためか? それとも設計ミスか? リーダー、教えてくださいな。


今日のメイン「宇佐神宮」を目指して走り始める。

爽やかな10月の気候。快晴の天気の中、おじさん列車の出発進行だ。

ほぼ平坦路なので、初日の足慣らしにはちょうどいい。


大分の道路は実に走りやすい。そしてドライバーが皆優しく丁寧だ。

日本各地を走ってくると、その地方によって車の運転も様々だ。

後から来た車が、なかなか我々を追い抜かない。


対向車が完全にいなくなり、車幅を大きく取れない限り抜いていかない。

早く抜いてくれと、こちらは思うものの、ずっと後について待っている。気になって何度も振り返ってしまう。

きっと、こうした交通安全が徹底されているのだろうな。おかげで荒っぽい運転にほとんど遭遇しない。


10月中旬だというのに。大分地方はまだ稲刈りが終わっていない。

辺り一面黄金色に輝く中を気持ちよく走り抜ける。


低い山と丘陵地帯。広がる田園風景。

こんな景色を眺めていると、果たしてここは本当に九州なのか? と疑問に思うほどだ。

国東半島の眺めとは、こういうものなのかと初めてわかった。


交通量の多い車道から外れて農道を行く。

とにかく人の姿が見えない。いったい住民はどこで何をしているのだろう。

東北の重く寂しい雰囲気はないけれど、過疎地の静けさを至る所で感じる。


一山超えて下った先が宇佐神宮だった。平日の16時になろうという遅い時刻。

今から宇佐神宮を見学する人も少なく、閑散とした雰囲気だ。

多くの観光客で賑わっているかと思ったが、完全に拍子抜けだった。


参道の土産物店からは、こんな我々の姿が物珍しいようで、じっとこちらを眺めている。

さて今日のメインイベント、宇佐神宮の見学へ参りましょう。

異様な格好のおじさん7名が、ぞろぞろと歩いていく。厳かな空気の中、鳥居で一礼し奥へ進む。


宇佐神宮
宇佐神宮は全国八幡社の総本宮、勅祭の大社であり、伊勢の神宮につぐ宗廟、我朝の太祖として歴代天皇より篤い御崇敬を受けています。

また、私たちの祖先は全国各地に宇佐の八幡宮をお迎えして、氏神や鎮守のお社としました。

神代に三神の比賣大神がご降臨されたこの宇佐の地に、約千四百年前の欽明天皇三十二(五七一)年、応神天皇のご神霊がはじめて八幡大神としてあらわれ、各地をご巡幸後、この亀山にお鎮まりになりました。

のちの弘仁十四(八二三)年、応神天皇の御母君であられる神功皇后をお祀りし、三殿のご鎮座となりました。


外人観光客がしきりに写真を撮って、ガイドの方から説明を受けている。

外国の方にとっては、こうした日本の歴史、美しい文化遺産に興味があるようだ。


ゆっくり40分ほど宇佐神宮を見学して、本日の宿、豊後高田へ向かう。

もちろんこの町へ来るのは初めてだ。いったいどんな町なのであろう。


昭和の町 豊後高田市
豊後高田市の中心商店街は、江戸時代から明治、大正、昭和30年代にかけて、国東半島で一番栄えた町でした。
江戸時代から海上運輸の要所であり、昭和初期でも磯町には、京阪神に行き来した運搬船が多数停泊するほどでした。

道路は五本の幹線が集まり、半島奥地や海岸部・宇佐方面への要所になっていた。
しかし、だんだんと時代の波に取り残され、多くの商店街と同じく寂しい町になっていました。

そこで、商店街が元気だった最後の時代、あの昭和30年代の元気、活気を蘇らせようと平成13年に立ち上げたのが「昭和の町」です。

当初7店舗からスタートした昭和の町認定店は現在40店舗ほどになっています。
いまでは全国的に脚光を浴び、年間約40万人もの来訪者を迎える商店街になっています。

昭和の町には現代人が置き忘れている心の交流があります。

https://showanomachi.com/abouts/


宿へ向かう途中、「昭和の町」をゆっくりと散策する。

確かに昭和の臭いが漂う、おじさんたちには懐かしい商店街が続く。

右や左の店先を覗きながら、いつか見た記憶を懐かしみながら走り抜ける。


懐かしいと言えば聞こえはいいが、実際のところはあまりに寂れた商店街という雰囲気だ。

そんな町の外れに、本日の宿の派手な明かりが見えてきた。


手配できた宿はビジネスホテルだった。ほとんどこの周辺に宿がなく、確保するのも苦労したそうだ。

大きなビジネスホテルで、駐車場には多くの車が止まっている。ほとんどが仕事関係の車だろう。


事前の交渉で、自転車を部屋に入れられるということで、エレベーターで移動大作戦。

人用のエレベーターでは自転車が2台入らず、何度も往復しないといけない。

それでも部屋に自転車が置ける安心感はありがたい。これが外の駐車場だったら不安で仕方ない。


夕食は近所の居酒屋へ出向く。

なんだか会社の出張にでも来たような感覚で、知らない道をぞろぞろと歩きながら豊後高田の町を味わう。


あれだけ大きいビジネスホテルがあるということは、観光の町? 仕事の町? 何の町? よくわからない・・・

今日一日、すべて予定通りの段取り、何一つ迷うことも待つこともない完璧なスケジューリング。


「事前に下見に来たんでしょう? 段取り良すぎます〜」なんて連発しながら楽しい宴は延々と続く。

当然二次会はビジネスホテルのツイン部屋に7名大集合。

自転車2台におじさん7名が、いつものどーしようもない話にいつまでも語り続ける一日目でした。


 
距離: 37.9 km
所要時間: 4 時間 33分 53 秒
平均速度: 毎時 8.3 km
最小標高:  4m
最大標高:  39m
累積標高(登り):  100m
累積標高(下り):  98m

(2022/10/18 走行)


峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2022 >  国東半島・磨崖仏巡り@

inserted by FC2 system