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2022年4月6日(水)


最終日も好天に恵まれた。これだけ天気が続くというのも珍しいことだ。

二日間で、2つの自転車道と14の峠を越えてきた。最終日は、3つの自転車道と3つの峠が残っている。


仕事関係の宿泊客は朝も早く、すでにホテルは自分ひとりだけだ。

ホテルの洗濯物干場に置かせてもらった自転車を引っ張り出す。

すぐ裏手の加古川に出ると、今日もまた満開の桜に出迎えられた。


朝の8時から走り出せる喜びと、今日もまたいきなり絶景に迎えられて、もう気分は最高潮だ。

昨日は峠巡りで慌ただしい一日だったが、今日は3つの自転車道をのんびり行く予定だ。


加古川に沿った土手道は、平日の早朝ということもあってこんな景色が延々と続いている。

もう、どうしたらいいのだろうかというぐらいの贅沢な朝のスタートだ。

毎日これだけ満開の桜を眺めていると、さすがに感動も薄れてくるが、それでも素晴らしいとしか言いようがない。


 

播磨の峠15 「新山伏峠(標高87m)


「闘竜灘」という観光名所で一服する。立派な阿江与助銅像が建っている。

こんな早朝から来る観光客は誰もいなく、さすがにお店も閉まっている。


一旦加古川から離れ、次の峠へ向かうために「播磨中央公園」を目指す。

ここの公園も広く美しい公園だ。こうした環境が揃っていて、実に暮らしやすそうな感じが伝わってくる。


自転車道の起点はどこなのかと待ち続けながら、しばらくは車道をのんびりと行く。

なかなかその気配がないので、今日もさっそく裏道攻撃だ。


小さな農道を辿って、まったく誰も通らないような田舎道を右へ左へと分岐していく。

地図を見ながらでは絶対にこんな走り方はできない。ナビはこういう時にとにかく便利だ。


万願寺川という、小さな川の桜並木があまりにも見事なので小休止する。

車では止まることもなく通り過ぎてしまうが、一瞬だけでは実にもったいないほどの美しさだ。


写真を撮っていると、前方から年配の方たちのウォーキング集団がやってきた。

やはりこの川沿いは桜の名所なのだろう。


万願寺川を一旦離れ、新山伏峠へ向かう。

この峠も一般の車道の峠だ。行き交う車も多く、峠の雰囲気はあまり感じられない。

高低差は多少あるが、距離も短くすぐに下り終えてしまう。



播磨の
峠16 「山伏峠(標高87m)


新山伏峠を下りきる手前に、旧山伏峠へ向かう歩道がある。

車ではまず気が付かない程の細い山道だ。入口には県指定文化財を示す案内が設置されている。


静かなハイキング道だ。

車も通れそうな道幅だが、徒歩と自転車のみが許されていると本に書かれている。

10m程標高を稼ぐとすぐに山伏峠に到着する。


車道の喧騒が嘘のように静まり返り、何一つ音が聞こえなくなった。

峠には大きな石棺仏二体が据えられている。

標高87mの小さな小さな峠だが、
周囲の雰囲気から峠の歴史がひしひしと伝わってくる。


山伏峠の紹介 https://kanko-kasai.com/spot/yamahusetouge/ より

全長207cm、幅134cmの県下最大の石棺仏
玉野町の松林の峠道にひっそりと佇み、行きかう旅人に多くのやすらぎを与えてきた3基の大きな石棺仏があり、北条町にある五百羅漢石仏と同様に加西市を代表する石仏の一つといえます。

3基ある石棺仏の内、一番手前にあるものは、全長207cm、幅134cmの県下最大の石棺仏と云われており、家型石棺の蓋石で地上の見えるところでは周りに5つの縄掛け石も確認することができます。
中央には印を結んだ阿弥陀如来が彫られており、約700年前の南北朝時代に造られた当時を思い浮かべることができます。
 




自転車道3 「播磨中央
自転車道」


山伏峠を下り玉丘古墳群に立ち寄る。広大な敷地に古墳時代中期の前方後円墳が残されている。

ゆっくり見学したいところだが、まだまだ先も長いのでぐるっと周回するだけとした。


歩道の色が自転車専用道の色に変わった。ここからようやく「播磨中央自転車道」に合流する。

現在位置を示す、とてもわかりやすい案内が設置してある。

ここから二つの自転車道をつないで、高砂海浜公園手前まで延々と専用道を走ることができる。


自転車道は専用のカラーで舗装されている。自転車道によっては、色付き、色なしと様々だ。

このペイントにはどういう効果があるのかよくわからないが、カラーの方が間違って車両が入ってこないだろう。


カラー舗装するには費用がかかるだろうが、それでも自転車の安全を第一と考えているということだろう。

やはり兵庫県は、自転車に対しての理解が深いと感じる。


自転車道はまったくの貸し切り状態だったが、この好天気で親子がお散歩にやってきた。

ここなら安全・安心だ。大人も子供も楽しくサイクリングを楽しむことができるだろう。


ちょうどいい場所に、車両止めのポールが設置してあったので、さっそくこれを利用させてもらう。

持ってきた脚の曲がる三脚が、ちょうどピッタリポールにはまった。こんな感じで撮影準備完了。


さっそく手前から乗車して、適当な位置からリモコンシャッターを押す。

出来栄えは再生してのお楽しみ。失敗したらやり直し。なんだかんだだいぶ要領を得てきた。


別の場所でも同じような高さから撮影してみる。

これでカメラが首をパンして振って、自分を自動で追尾してくれたら最高なんですけどね。


今日はのんびりできる。峠越えもあと一つ。それもたいした登りではない。

となれば、この桜並木の絶景ポイントで小休止だ。


珍しくロード乗りが通り過ぎて行った。今回本格的なサイクリストに会うのは初めてだ。

まあ平日なので会うこともないだろうが、そういえば誰にも会わなかったなと今頃気が付いた。


軽食で一服する。穏やかな、平和な光景が目の前に広がる。

ちょうど北条鉄道の列車が網引駅に入ってくる姿が見えた。たった1両のローカル線だ。

時刻はまもなく12時になろうとしている。さて、午後からもまた楽しみだ。


播磨の峠17 「野尻峠(標高78m)


自転車道の案内に従って南下する途中、「野尻峠」に立ち寄ってみる。

本来越えたいところだが、越えてしまうと自転車道から離れてしまうため、峠のピークでUターンする。

直線の舗装路を一気に登ると、小野市と加古川市の境を迎える。本によればここが野尻峠とされている。


峠のピークには「小野アルプス案内図」が設置されていて、現在地に「福甸(ふくでん)峠」と記されている。

野尻峠という名称はどこにもないが、本の説明にかかれているのでその名前を使用することにする。


道路脇から登山道が始まっていて、ちょっと入ってみるとこの「福甸(ふくでん)峠」からの案内が書かれている。

自転車がなければちょっと面白そうな山道だ。この辺りを縦走する登山客も結構いるようだ。


 

自転車道4 「加古川右岸自転車道」


野尻峠で今回予定していた峠越えは全て終了した。

終わってしまうと何か寂しさを感じる。もういくつか越えたかった、なんて今になって思うほどだ。

ここからは「播磨中央自転車道」から「加古川右岸自転車道」にリレーする。


スタートは権現池に沿った快適な自転車道だ。自転車道が変わると雰囲気もまた違ってくる。

自転車の形を模した素敵な案内図が設置されている。

詳しい距離とイラスト、そして”ファイト!”なんて声援も書いてある。ホント、温かい気配りだ。


時刻は13時を過ぎ空腹になってきた。食料が何もないので、ガーミンでコンビニを検索して立ち寄る。

加古川の河川敷にちょうどいい休憩所を見つけ、そこで遅めのランチタイムとする。


気温も上昇し、日陰でなければ暑くて休んでいられない。日焼け止めもしっかり塗っている。

4月の始めとは思えないような気候だ。

徐々に加古川の河口が近づいてくる。景色はこれまでと違って単調な道が続く。


住宅街から工場地帯へ変わり、川幅もより広くなってくる。次第に潮の香りが強くなってくる。

延々と走ってきた自転車道の先に、やがて青い海が見え始める。

加古川右岸自転車道とは、終点ちょっと手前でお別れだ。



自転車道5 「姫路明石
自転車道」


残りは「姫路明石自転車道」を残すのみとなった。ここまでくればもう不安はほとんどない。

明石海峡大橋を目指して、シーサイドをのんびり楽しむ快適な自転車道だ。


一気に景色が変わる。やはり海を目の前にするとそのスケールに圧倒される。

山から川、そして海へと移動してくると、その景色の変化や香り、明るさなどの違いを肌で感じる。


この自転車道を走るのは二度目だ。前回は逆コースで走ってきた。

二度目なのでどんな自転車道なのかはよくわかっている。残り時間と距離を頭に入れておけば安心だ。

最後のお楽しみに、ここでもリモコンシャッターで遊んでみる。


さすがにこの自転車道は行き交う人が多く、のんびり道の真ん中にスマホを置くわけにはいかない。

できれば明石海峡大橋を背景に入れて撮影したかったが、なかなかそううまくはいかない。

なんとかうまく撮れた一枚がこの写真だ。まあソロツーリングにしては上出来の一枚だ。


いよいよゴールが近づいてきた。明石海峡大橋がより大きく近づいてきた。

今日の海峡は風もなく本当に穏やかだ。


多少時間に余裕があったので、護岸に座って最後のコーヒーをいただく。

大きな船や貨物船がゆっくりと橋の下を通過していく。橋を行くトラックがかすかに見える。

最後までトラブルなくうまく走り終えた。満足の三日間だった。そんなことを振り返りながら明石駅へ向かう。


後は一人反省会だ。旨そうな駅弁とビールを買い込んで新幹線に乗り込む。もちろん最後席を予約済みだ。

天気にも恵まれ、ほとんどノントラブルで無事に走り終えることができた。

初めて訪れた”播磨”地方。派手さはないけれど、なかなか走りごたえのある面白い地域だと感じた。


5つの自転車道と17の峠。まさかこんなに思い出を残せるとは思ってもみなかった。

これはすべて「播磨の峠ものがたり」と綿密なプランニングによるものだと思った。

また機会があれば、残りの峠を越えてみたいものだ。

距離: 80.6 km
所要時間: 8 時間 46分 41 秒
平均速度: 毎時 9.2 km
最小標高:  24m
最大標高:  92m
累積標高(登り):  230m
累積標高(下り):  254m

(2022/4/6 走行)


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