峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2021 >  舎人公園・神明・六木遊歩道




ずっと前からこのコースを走ってみたいと思っていた。
適度な距離、周回コース、公園、川沿い、遊歩道、のんびり散歩。

自分の好きなサイクリングの要素がいろいろ含まれていて、この本の中では一番興味を持っていた。
同じ東京とはいえ、この足立区エリアはほとんど訪れたことがなかった。

しかし、コースガイドを読めば読むほど、このコースを走ってみたいと感じていた。
若い頃だったら、こうしたコースでは物足らなかっただろう。

もっと走って、もっと登って、もっと下って、もっと汗かいて。そんなハードなツーリングが心に響いたものだ。
だけど、最近はゆっくり走ることに生き甲斐を感じるようになった。それだけ歳をとったということだろう。


車にランドナーを放り込み、舎人公園を目指す。
今日のお供はこのカメラ。昔買ったペンタックスのデジタル一眼だ。

有効画素数610万画素という、今ではだれも見向きもしない化石のようなカメラだ。
しかしこのカメラは軽量で、映像素子にCMOSではなくCCDが使われている。ここが今でも通用する魅力だ。

CMOSより、CCDの色合いのほうが自然で美しいと自分は感じている。
たった610万画素のカメラだが、撮影した画像は今でも最新機種に劣らぬ美しさがある。

このカメラに、SIGMAの超広角10-20mmレンズをつけきた。さて今日はどんな写真が撮れるか楽しみだ。


舎人公園に初めて来た。

驚いた。こんなに広々として、ゆったり、のんびりしている公園が都内にあったとは。

自分のよく行く公園とは世界が違う、ゆとりが隅々まで感じられる。


人がいない。いるのだろうが視界に入ってこない。なんて広いのだろう。

超広角レンズの威力がいきなりここで発揮できた。

広角レンズの魅力って不思議だ。はまると抜け出せないかもしれない。


舎人公園だけで一日過ごすことができるだろう。
これほど素敵な公園が、車を使えばこんな簡単に来れることに驚きを覚えた。

広場にひっくり返ってのんびりしたい気持ちを抑え、公園を後にする。
舎人公園駅から北上し、ガイド通りに走り出す。

土地勘がない所だけに、視界に入ってくる光景が新鮮だ。
見沼代親水公園へ分岐する。街の中を素敵な遊歩道が続いている。


ゆったりとした散策路は、のんびり歩くには最高の環境だ。
ほとんどここも人の姿が見えない。もったいないと感じるほど静かでのどかな親水公園だ。

自転車は乗車禁止だ。ここはゆっくり押しながら風景を眺めよう。
トイレも素晴らしい。立派な休憩所が併設されていて、なんと畳部屋でくつろぐこともできる。


「武蔵野の路」舎人コースの案内図があった。
全21コースの地図をよく見ると、3つのコース走ったことがないことがわかった。

「10.光が丘・赤塚コース」「11.浮間コース」「12.舎人コース」
今日はそのうちの一つを走ることができる。残り2つか・・・こうなると全部走りたくなる。

「武蔵野の路」は素敵なコースが実に多い。
徒歩だとかなり厳しいが、自転車を使えばちょうどいいポタリングになる。


武蔵野の路は、各地域の自然・歴史・文化にふれながら、東京を周回する全長約270kmの散策路です。
東京湾を望む海の路や、河川沿いに延びる川の路、緑地や湖を巡る森の路、首都圏自然歩道につながる山の路など、それぞれ特色のある21のコースが用意してあります。

参考   https://nazoaruki.com/musashino/
参考   http://joplinjp.web.fc2.com/2/2scd/m_report/


遊歩道は東武伊勢崎線の下をくぐり、毛長川に沿ってずっと続く。
毛長川はほとんど流れがなく、そして人の姿も車もほとんどないので、動くものが見当たらない。

子供の声も、街の騒音も、工事中の音も、サイレンも、そして鳥のさえずりや犬の鳴き声も聞こえない。
静かだ。あまりに動くものがないので、ベンチに座っていても飽きてしまうかもしれない。


川沿いの道は一部工事中のため大きく迂回させられ、再び元のルートに戻る。
大きな団地が並ぶ前が静かな公園になっている。今日はここで簡単なランチだ。

木陰に座っておにぎりをいただく。通り過ぎる人が不思議そうな顔をしてこちらを眺めていく。
平日の昼間に、こんなところで食事しているのはさぞ珍しいのだろう。

今日は初夏のような気温だが、湿度が少なく気持ちのいい風が吹き抜ける。
コーヒー一杯分のお湯なら、風が多少あってもすぐに沸く。そして至福のひと時を楽しむ。


知らない土地はわくわくする。その先がどうなっているのかさっぱりわからない。
どんな道なのか、どんな川なのか、どんな景色なのか。新たな発見は心の刺激になる。

いつも通勤で乗っている車両も、一両変えるだけで新たな発見があったりする。
一つ手前の駅で降りて歩くと、見たこともないような街の景色に気が付く。

やっぱり見知らぬ土地へ飛び込むことも大切だ。今日はそんな気持ちに浸っている。


本で紹介されていたハイライトがこの「神明六木遊歩道」だ。

うっかり見過ごしてしまうほど小さな入り口から遊歩道が始る。

こうした細い、謎めいた遊歩道が大好きだ。自転車でなければ味わえない特権だと思っている。


うらやましいな、この道。こんな素敵な小道はなかなかない。

自転車のための小道ではない。歩く人のための道だ。

川と民家の間に挟まれた、小さな小さな散策路。これが自然そのままで素晴らしい。


やたらと手が入れられなくて、木の根や段差がそのまま残っている。危険そうな個所も所々ある。
適度に設けられたベンチや休憩所。そしてどこでもエスケープできる手軽さ。

なんか、この小道をずっと歩いていると、街づくりのうまさを肌で感じる。
きれいに、安全に、快適に・・・そういう事ばかりではない、もっと大切な事がわかっている感じがする。


小さな公園が次々と現れる。こんなに公園はいらないだろうと思うぐらい多い。

こういう環境だと、暮らし方も変わってくる気がする。なんだか、今日はいいお手本を見せられた気がしていた。


この遊歩道、入口からずっと歩いてみた。
乗車できないわけではないが、さすがに時折すれ違う地元の人には申し訳ない気がしてならない。

この道はあくまで歩く人のための道。自転車で通る人など誰一人いない。だから乗ってはいけないと思う。
遊歩道の最後には、六木水の森公園の大きな水車が登場する。この公園も思い出になる。


夢のような遊歩道が終わり、視界には中川の豪快な景色が飛び込んでくる。
「静」から「動」といった感じだろうか。一気に世界観が変わった感じだ。

こうした変化が旅の魅力だ。まさか東京都内でこんな感じを味わえるとは思っていなかった。
大きな空、広い川、広がる視界、そして見事な自転車道。今回のコース、前半のここまでは文句なしだ。


後半も期待に胸が膨らむ。しかし、ここで突然電話が鳴った・・・なんと大親友のサイクリスト仲間からだ。
驚いたことに、偶然にも近くにいるらしく、1時間後に舎人公園で合流することに。

残りのコースを1時間で走れるかどうか微妙だったが、とりあえずペースを少々上げて先を急ぐ。

しかし時間に追われだすと、やはりゆとりがなくなってしまうのは仕方がない。
ついつい止まることを忘れ、写真を撮ることもできず距離を稼ぐ走りになってしまう。


まあそれでも、こんなツーリング先でばったり仲間と会えるというのだから奇跡的だ。

舎人公園で合流。長年苦労を供にしてきた間だから、会えば話が尽きない。

来月のGWの予定はいったいどうなるのか? なんて心配しながら公園のベンチで日が傾くまで話し込んでいた。


舎人公園に始って、舎人公園で終わった。素敵な公園に、素敵な「武蔵野の路」。

新たな発見がありすぎて、期待以上に感動の連続だった。

とにかく、今回は本当にいいコースだった。何度でも走りたくなるお気に入りのコースになりそうだ。

(2021年4月21日 走行)


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