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東北日本海の旅も五日目、最終日だ。

さすがにここまで好天に恵まれたが、全国的に天気は下り坂だ。


昨日から気分はさえない。最終日、どうしようかと悩んで結論が出ていない。

雨の中を無理して走る気はない。

輪行状態のままだから、このまま秋田駅から帰れば早い時間に東京に戻れて、ラッシュに巻き込まれることもない。

疲労もピークに近づき、心も体も弱気モードだ。


だけどせっかくの秋田だ。なかなかここまで来ることはない。少しでも走りたい・・・

ベッドの中で、天気予報を見ながら悩む。どうしよう・・・走るのなら準備しないと・・・

詳しく天気予報を調べてみると、全国的に天気は下り坂なのだが、なんとこの秋田地方だけは午前中は降水確率が低い。

こんなことがあるんだ、と運の良さに驚く。そうと知ったらぐずぐずはしていられない。


バイキングの朝食を済ませ、自転車を組み立てる。

組み立てていると、ポツポツと小雨が降り始めた。まあ、今日は多少の雨は仕方がない。

雨足がひどくなったら諦めて、近くの駅から帰るとしよう。そう考えて走り始めた。


秋田は大都市だ。市内を抜けるのに、朝の通勤時間の中しばらく時間がかかる。

やっぱり何もかも違う。なんでも揃ってるし、なんでも手に入る。

若者は溢れ、街に活気がある。明るさがあり、そして魅力がある。


昨日までの過疎化の町や村、そして遠く離れた離島と比べてしまうと、まるで別世界のようだ。

これじゃ人が大都市に集まるのも仕方がない。あまりにも生活の便利さが違い過ぎる。

過疎化は本当に大きな問題だと肌で感じる。

最終日は、雄物川から秋田サイクリングコースを周回してくるコースを行く。


途中で、あやしい? 自転車屋さんを見つけた。なんか匂うぞ。

その昔、ツーリング途中で見つけた自転車屋さんで、お宝を見つけた経験からちょっと期待が・・・


見た感じ一般自転車で散らかっているが、こうしたお店の棚には昔のパーツが残っていたりする・・・かも?

ガラス越しに中を覗いてみるが、残念ながら期待外れの感じだった。


雄物川沿いに、まずは雄和仁別自転車道が始まる。

小雨で雨具を着ての走りになってしまったが、気温も低く涼しくて、意外と快適だ。

ジョギングしている人と2、3名すれ違った以外誰にも会わない。

半ば諦めていた今日のツーリング。やっぱり走り出すと、小雨だろうが気分は上々だ。

それほど強い雨ではないので、雨具は上着だけ着て走る。


今日のコース全景が案内図で表示されている。

秋田へ来ても、なかなかこうしたポタリングコースを走ることはないので新鮮だ。

雄物川から岩見川へ分かれる。左手に奥羽本線の列車を眺めながら自転車道を行く。

道はところどころ荒れていて、柵が倒壊していたり、路面がひび割れているところもある。

細いタイヤでは気を付けないとハンドルをとられてしまうだろう。


このあたりも寂れた風景だ。見渡す限り、人の姿もなければ、民家、お店も見当たらない。

今日もまた食料難民になりそうな感じだ。

岩見川と別れ、県立中央公園方面に向かう。

国際教養大学の施設の入口に、秋田市ゆうわサイクリングターミナルがあるので立ち寄ってみる。


サイクリングターミナルはJCAの管理する公共の施設。全国に14か所、自然環境豊かな場所に設けられている。

これまで泊まったことはないが、どんな感じなのか、ちょっと中を覗いてみることに。

この雨の中、お客さんは誰もいない。玄関に日本自転車振興会のシールが貼られたダルマ自転車が飾ってあった。

簡単な食事ができるが、まだ時間も早いので、おいしそうな「こまちアイス」でエネルギー補給。

話を聞くと、以前までここで宿泊できたのだが、今はできないとのこと。さすがに需要がないんでしょうかね。


サイクリングターミナル前の道は、ご覧の通りの素晴らしさ。雨の中でも桜の色が鮮やかだ。

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自転車道は、秋田県立中央公園の中を通る。

この中央公園、あまりの広大さに度肝を抜かれた。あきれるほどデカイ。

フィールドアスレチックはまだシーズン前のようで、この天気もあってまったく人の姿は見当たらない。

自転車道は、この公園の外周を回るように設けられているが、路面が見えないほど枝木、落ち葉で埋め尽くされている。

なんと階段まで現れる始末で、これでは自転車道の魅力も半減してしまう。


「クマ出没中 危険!」なんて看板が出てくると、この鬱蒼とした薄暗い木立の中、さすがに少々緊張する。

それでも、すぐ横が秋田空港のため、時々ジェット機の轟音が聞こえてくるので、クマ除けになっているのかもしれない。


途中、道が崩壊している箇所があって、反対側は進入禁止になっている。まあ、注意すれば乗って通過できる程度の崩壊だ。

結局、広すぎる公園内をぐるりと回っただけの、なんだか冴えない自転車道であった。

中央公園を抜けて、秋田空港方面へ向かう。

秋田空港が少々高い所にあるため、一気に直線で60mぐらいのヒルクライムだ。

これがつらい。


ちょうどお昼の時間。やっぱり今日も食糧調達ができなかた。

しかたなく、雨宿りも兼ねて、登り切ったところの東屋でランチタイム。

ランチタイムといっても、やっぱり非常食とおつまみの情けないメニュー。

ようやくガスを取り出してお湯を沸かす。気温も低くなり、さすがに今日は暖かいものがありがたい。


いぶりがっこにチーズの相性が抜群と教わったが、さすがにこの組み合わせは美味しくはなかった。

今日は時間に余裕があるので、ここでゆっくりと休憩だ。

Bluetoothのスピーカーを取り出して、ラジコを聞いたり、スマホの音楽を聴いたりしてのんびりくつろぐ。

すっかり休憩してしまって走り出すのが億劫になった。

まだ雨足も弱いので、ひどくなる前に秋田駅まで戻りたいところだ。


片づけて、下りに入る。

再び雄物川に合流。雨も少し強くなってきた。


サドルカバーを被せ、フロントバッグには雨具のズボンを被せる。

人間よりも、サドルやフロンドバッグを雨から守るという、ベテランの常識?


小雨の中、さすがに快適というわけにはいかず、眼鏡に付いた滴を拭いながら黙々と走る。

長かったツーリングもいよいよフィナーレとなると、感慨もひとしおだ。

ゴールが近づく中、最後に出会ったのが太平川の桜並木。予想外の出会いに思わず歓声が出るほどだった。

川の両側に満開の桜並木が続く。小雨で花見客もほとんどいない。出店も開店休業状態。

おかげで、自転車に乗ったままゆっくりと花見を満喫できる。

土日はすごい賑わいだったのだろう。花見客で溢れ、自転車で走ることも、写真を撮ることもできなかったかもしれない。

天気は冴えないが、これでも恵まれたほうだ。そして最後にこんなプレゼントがあるとは。

いやはや、今回のツーリングは幸運に恵まれている。

桜に始まり、桜に終わった今回のツーリング。

この時期の東北は、見るもの、食べるものよし、そして気候も最適と条件が揃っている。

4月の東北は、のんびりと花見をしながら走るのに最適ではないかと思うばかりであった。

23

時間もたっぷりあって、輪行も余裕だ。

初めて乗る秋田新幹線。東京まで約4時間の一人反省会。

豊富に買い込んだお酒とおつまみ。最後の最後まで、秋田名物にお酒もすすむ。


長かった旅を、ザクティで振り返る。

充分な満足感と酔いに浸って、無事に東京に戻ってきた。



 

距離: 56.6 km
所要時間: 7 時間 0 分 24 秒
平均速度: 毎時 8.1 km
最小標高: 5 m
最大標高: 112 m
累積標高(登り): 227 m
累積標高(下り): 226 m

(2018/4/24 走行)


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