峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2016 > 北上花巻温泉自転車道・中尊寺



朝から大忙し。朝食前に駐車場へ行って対策を練る。と言っても、できることは限られている。

プーリーを外してみると、なんと2コマ欠けている。このまま使っていると、最後は丸くなる?(逆にそのほうがありがたい?)

上下のプーリーのうち、上のガイドプーリーのほうが被害がない。ということは、上下を入れ替えたほうがいい?


今回のようなプーリー破損のトラブルは初めてなので、さてどうしたものかと考える。

しかし、できることは上下を入れ替えることぐらいしかない。まあ、とりあえず何かやっておきますか。


フロントタイヤは、ガムテープを再度丁寧に貼りなおして、亀裂の修復は何とか解消できた感じだ。

早朝からこんなことを駐車場でやっていると、出勤してきた従業員に不思議そうな目で見られ、自分も一体なにやってんだかと・・・

手も真っ黒、額から汗を垂らしてようやく朝食。さて、走りはいくらかよくなりますかね・・・

宿を出るとすぐに、「北上花巻温泉サイクリングロード」が始まる。

一応マニアとしては、起点から終点まで走りたいので、とにかくスタートが大事。

何だかマラソンコースにもなっているようで、ここがマラソンスタート地点。まあ、街の憩いの場なのでしょうね。


なんとか走れる状態ではあるけれど、満身創痍の状態だ。あと何か起きれば走行不能となるかもしれない。

走ってみると、さっそく気になることが・・・
 

プーリーの異音は、上下を入れ替えたおかげで音が小さくなった。しかし、何だかフロントホイールがおかしいぞ?

修理した箇所がリム内側に極端にビードが落ち込み、その部分だけへっこんでいる状態だ。

タイヤサイドを見てみても、その部分だけ中に落ちている。ホイールを回転すると、丸くない! 一か所へっこんでる!

いろいろ手を尽くしてビードを持ち上げても直らず、ホイールが一回転するたびに、「ガタッ、ガタッ」と衝撃が伝わる。

あまりにも我慢できないので、再びタイヤを外して再修理したけれど、結局改善されず。

どういうことなんだろう? どうしたらいいんだろう? こんな時? 何を持っていたらよかったんだろう?

何か詰めたり、貼ったりしてすれば直りそうだが、もう、時間もないので諦め。

何回かやり直して、AD-HOCも熱くなるほど酷使されて、もう勘弁してくれと言っていた・・・


今回の二泊三日のツーリング、まだ初日を終えたばかりだが、果たしてこのまま大丈夫だろうか?

予備チューブを使い果たしてしまったので、自転車屋があれば念のために1本買っておこうかな。

幸い、山岳地帯や無人地帯を走るわけではない。

最悪、簡単にツーリングをやめてエスケープすることもできる。だからある程度気が楽だ。


プーリーの異音も慣れれば小気味いいサウンドだ。一定のリズムでペダリングをサポートしてくれているかのようだ。

これがヒルクライムだったら、こんな気持ちにはなれないだろうな。

明け方まで降っていた雨もやみ、濡れた路面の中自転車道を行く。今日もほとんど人の姿が見えない。

水田の中、民家の間を抜けて行く。路面はきれいに舗装されていて、より一層ホイールのデコボコが伝わってくる。

街中を抜けると路面状況も悪くなり、狭く多少荒れた道になる。橋を渡り北上川に合流する。
 

土手沿いの道を南下すると道幅も広くなり、1kmごとに距離表示が現れる。

いつも思うのだけど、この距離表示とGPSの表示はどれぐらい合っているのかな・・・

実際に次の標識まで調べてみたら、まあ、お見事、ピッタリでした! 合ってて当然ですけど、GPSって正確ですね。

途中、水車がある「お滝さん」という休憩所がある。ベンチや東屋があって、ちょうど一服するのにいい所だ。

自転車道は北上川のすぐ横を進むが、豊富な水量が今にも溢れるんではないかの迫力を感じる。


北上駅の対岸まで来ると、市立公園展勝地の中を自転車道は行く。この辺りが終点となる。

桜の季節には、満開の桜のトンネルが観光名所になっている。今日は写真の通り、誰もいない。静かなものだ。

全長約26kmの距離であったが、なかなか楽しいコースである。桜の季節にぜひ走ってみたいものである。

公園内には江戸時代に活躍した、ひらた船が係留されていたり、蒸気機関車、雪かき車などが展示されている。

今日のお昼は、ここのレストランでいただくことに。

お昼時だが、店内は空いている。本日は、質素にやまぶき定食をいただく。
 

売店には、何だか見慣れない方のCDがたくさん並べられている。

瑞穂あけみ(石巻市相野谷出身)さんという民謡歌手らしい。

どんな曲か気になりますよね、こういうのって。→ https://www.youtube.com/watch?v=gZZXLAiWeoE

さて、本日これからの楽しみが、世界遺産 平泉中尊寺の見学だ。

日本各地、世界遺産は数々あれど、なかなか日本人でも訪れる機会は少ない。


現在日本には20件の世界遺産が登録されている。(2017/5 現在)

この中でいくつ行ったことがあるかな? と数えてみたら、今回の平泉で11ケ所になる。

長いことツーリングをやってますが、それでもまだ半分なんですね。日本の良さをまだまだ知らないってことですよね、これは。

やはり日本が世界に誇る遺産ですから、日本人が行ったことがないっていうのは恥ずかしいですよね。ぜひ訪れたいものです。

平泉までは、車を避けて裏道、田舎道を辿る。

プーリーの小気味いいサウンド?がペースを保ってくれる。

ここでもポタナビの大活躍。とにかく空いていて、気分がいい道を選んで走るのみ。

車が多くて、うるさくて、気に入らない道は走らない。だから田んぼの中のこんな一本道にでも出会える。

中尊寺の見学はは1時間しか余裕がないので、あまりゆっくりしていられない。

参道の入り口からはいきなり辛い登りが始まる。月見坂の両脇には樹齢300年ともいわれる杉並木が続く。

高齢者や、足の不自由な方では金色堂までは相当ハードな道のりだ。

ガイドさんと一緒に歩く観光客の足取りもかなり重い。休み休み、説明を受けながら登っていく。

参道入口から金色堂までは、なんと800mもある。往復1.6kmのちょっとした山登りだ。

のんきに歩いていたのでは宿に着けなくなる。1時間で戻って来るために、ハイペースで歩き続け、やっと金色堂に到着。

堂内は撮影禁止のため、HPより金色堂の写真をお借りする。


金色堂(こんじきどう)

金色堂は中尊寺創建当初の姿を今に伝える建造物で1124年(天治元年)、奥州藤原氏初代清衡公によって上棟されました。数ある中尊寺の堂塔の中でもとりわけ意匠が凝らされ、極楽浄土の有様を具体的に表現しようとした清衡公の切実な願いによって、往時の工芸技術が集約された御堂です。

内外に金箔の押された「皆金色」と称される金色堂の内陣部分は、はるか南洋の海からシルクロードを渡ってもたらされた夜光貝を用いた螺鈿細工。そして象牙や宝石によって飾られています。須弥檀の中心の阿弥陀如来は両脇に観音勢至菩薩、六体の地蔵菩薩、持国天、増長天を従えておられ、他に例のない仏像構成となっております。

この中尊寺を造営された初代清衡公をはじめとして、毛越寺を造営した二代基衡公、源義経を奥州に招きいれた三代秀衡公、そして四代泰衡公の亡骸は金色の棺に納められ、孔雀のあしらわれた須弥檀のなかに今も安置されております。
仏教美術の円熟期とも称される平安時代末期、東北地方の二度にわたる大きな戦いで家族をなくし、後にその東北地方を治めた清衡公が、戦いで亡くなってしまった全ての人々、そして故なくして死んでしまったすべての生き物の御魂を極楽浄土に導き、この地方に平和をもたらすべく建立した中尊寺の堂塔が古の栄華を今に伝えます。

http://www.chusonji.or.jp/guide/precincts/konjikido.html


いよいよ金色堂の中へ入る。予備知識もほとんどなく、ただ、金箔で飾られた仏堂、世界遺産というぐらいの認識しかなかった。

もっと大きくて偉大な建立物かと思っていたが、予想外にコンパクトであった。

しかし、目の前に輝く、見事なまでの装飾、美しさ、精巧さにただただ息を飲む。

どういう言葉がふさわしいのか、自分には適当な言葉が見つからないが、とにかく唖然とする美しさだ。

もう少し近寄って、さらにその内部の美しさをこの目でじっくり見たいところだが、残念ながら近づけない。


奥州が誇る最高芸術、中尊寺金色堂 

日本の工芸技術の粋を極めた結合体

800年前、この地に平和をもたらした藤原清衡が作った

東北の人々の心のよりどころである

(2004年9月21日放送)


帰宅後、昔録画して見ていなかったプロジェクトXを見た。

上記ナレーションで始まるこの番組を見て、この文化財の歴史的価値を痛感した。

事前に見ておくべきだったし、もっと勉強しておくべきだった。こんなに短時間の見学では本当にもったいなかった。

一度見ただけでは済まされない。ぜひ、再度訪れなければいけないと、番組をみて反省した。


超特急の中尊寺見学も終わり、本日もフィナーレに近づく。今日は心豊かな一日だった。

ツーリングは歴史とのふれあいでもある。

今日は、心に残る本当に素晴らし歴史を見て、学ぶことができた。

宿につく前に、コーヒーで最後のひとときを楽しむ。

今夜の夕食も素晴らしいご馳走だった。

テーブルに敷かれた紙には芭蕉の句が綴られていて、それを眺めながら今日一日を振り返っていた。

満足の一日、充実したツーリングであった。


五月雨の降り残してや光堂 (さみだれの ふりのこしてや ひかりどう)


あたりの建物が、雨風で朽ちていく中で、光堂だけが昔のままに輝いている。

まるで、光堂にだけは、五月雨も降り残しているようなことではないか。


距離: 78.3 km
所要時間: 8 時間 24 分 06秒
平均速度: 毎時 9.3 km
最小標高: 20 m
最大標高: 157 m
累積標高(登り): 293 m
累積標高(下り): 346 m

(2016/5/25 走行)


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