峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2015 >  接岨峡・奥大井




朝は全員で記念撮影。自転車を引っ張り出してくるとすぐに自転車談義だ。

12名のうち2名とはここでお別れ。 本隊10名で9時過ぎに走り出す。
 


晩秋の寸又峡温泉。こんな秘境まで来る観光客も少なく、宿からの下りを気持ちよく走り始める。

昨日 はすっかり日没になってしまい、闇夜のフィナーレで周囲の景色は全く分からなかった。

明るくなって見渡せば、樹々は最後の色づきを見せ、路肩には落ち葉が積もる。いよいよ冬も間近だ。
 


千頭方面の分岐で休憩。警備員が立って車に何か案内をしているようだ。

ここを左へ行くが、自転車には何も注意されずどうやら通行止めではないようだ。


昨日は暗すぎて、この地点の記憶が全くない。こんなにしっかりした分岐だったのかと驚く。

接岨峡方面への林道は道幅も狭く、これでは車もすれ違うのが大変だ。


落ち葉を踏みしめながら賑やかに林道を進む。自転車にとっては邪魔されるものがなく最高の雰囲気だ。

路面は安定していて細身のタイヤでも問題ないが、それに油断していたのか、いきなり自分がやらかした。
 


多少荒れてきた中、ちょっとした小石に乗り上げた時だった。

「シュッ!!」と大きな音とともに、フロントタイヤのエアーが一瞬ですべて抜けてしまった。


周りの人も驚くぐらい大きな音だった。突然の出来事に、いったい何が起きたのかさっぱりわからないほどだった。

タイヤを確認してさらに驚いた。タイヤサイドがスパッと切れてチューブが見えている。いわゆるサイドカットだ。


その傷口を見て、内心「こりゃもう走れない」と唖然とするほどの衝撃だった。

すると隊長が「これ貼れば大丈夫だよ」とタイヤブートなる秘密兵器を出してきてくれた。

「最近はこれ持って走らないとだめ。軽量タイヤには必需品だよ。」とのこと。
 


自分は使ったことがなかったので、指導のもとタイヤブートを貼って修理完了。

簡単に傷口が治って、さてチューブを交換したのだが・・・ あぁ・・

なんと持ってきた予備のチューブ2本が、前回のツーリングでパンクしたままのチューブだったという大失態・・・


エアーを入れても抜けるばかり・・・それを2本続けてとは・・・ああ恥ずかしい・・・

パンクしたチューブ2本を、きれいに丸めてしまっておいたのが失敗でした。


気づかずにそのまま持ってきてしまったというお粗末です。反省です。

ソロだったら修理しきれず、ここでツーリング終了となっていたかもしれません。


タイヤブートとチューブの提供を受け、そしてパンク修理名人の登場で無事走り出すことができました。

いつもいつも、本当にお世話になってすみません、皆さん。
 


南アルプスあぷと
ライン(大井川鐵道井川線)に沿った林道からの眺めは圧巻だ。

深く切り立った峡谷の、眼下はるか彼方に「アプトいちしろ駅」が小さく見える。


林道からの標高差約230mにもなる。こんな秘境の中に鉄道が走っている。

アプト式鉄道、湖、ダム、渓谷、吊り橋、原生林 ・・・信じられない眺めと奥大井の景観美に圧倒される。

刻々変化する林道と視界に飛び込んでくる絶景は、極上の”天空林道”といった感じだ。
 


接岨峡温泉駅まで来たところで本日のコースを真剣に協議する。

本来の予定は、この先井川湖から富士見峠を越えて静岡へ南下する予定だ。


しかし、ここまでの所要時間と残りの行程、天候などを考えると暗雲がたちこめてきた。

ここでカーサイのSさんとお別れ。一人で車のデポ地へと戻っていき、本隊残り9名となった。
 


接岨トンネルを抜けて、閑蔵駅へ。ちょうど道路わきに「お休み処」があった。

ここで再び全体協議だ。このまま先へ行くか、それとも諦めるかの最終地点だ。


時刻は11:20。このまま走りきるにはぎりぎりの時間だ。余裕はない。さてどうする?

軟弱関東組はすでにヤル気モードなし。

お店の中からは女将の「おいしいうどんありますよ〜」「食べて行って〜」のお誘いが・・・
 


結局、ここで静岡出身の2名と別れることに。走り屋の二人は最後まで走りきるということで本隊とお別れ。

「それじゃ気をつけて〜」の挨拶とともに、軽快に解き放たれて消えていった。


残った軟弱メンバーは、もうこれで迷いもなくなりすっかり安心モード。

腰を落ち着けお店の中を覗けば、おいしそうな山の幸がたくさん。
 


こちらも解き放たれたかのようにグルメモードに。

アプト式鉄道で輪行で帰りましょ、ということになって一気に元気百倍。


ヤマメの塩焼き、手打ちの天婦羅そばうまかったなぁ。もう満腹で動けず・・・

きっと、いい売り上げになったでしょうね。
 


閑蔵駅を見学してから、接岨峡温泉への林道へ入っていく。

簡単なゲート封鎖がされているが、4WD車なら入っていけるぐらいの道幅と路面状態だ。

すっかり落ち葉で埋もれた林道は 、倒木があったり、岩が転がっていたりと多少荒れている。
 


それでも自転車にとってはたいした難所もなく、「関の沢展望台」までやってきた。

ここで車で来ていた観光客の方とお話しする。こんな秘境で人に出会ったことにお互い驚く。

道はこの先通行止めになっているようで、しっかりと封鎖されていた。
 


林道を抜け接岨峡大橋を渡ると、接岨峡温泉駅だ。今回のツーリングはここまでとなる。

問題は、7名の輪行が乗車可能かどうかだ。


小さな客車だけに果たして乗車可能かどうか心配であったが、確認した結果OKの了解を得た。

これで一安心。時間もたっぷりあるし、ゆっくり輪行ができる。
 


サイドカットしたタイヤは、傷口がかなり広がっていたが走行には支障はなかった。

タイヤブートの威力は凄いなと感心するばかり。そして最近の軽量タイヤの危うさも痛感するばかり。


いよいよ乗車。車掌が乗客の降りる駅を確認しながら、我々が乗る客車を案内してくれる。

確かに自転車7台分はかなりのスペースを占領する。それほど混雑していなくて助かった。
 


予定を変更して輪行旅となったおかげで、貴重な観光ができることになった。

車掌の観光案内放送がなかなかいい。ゆっくり走る車窓に広がる景色の変化は秘境ならでは。

こんなのんびりとした鉄道旅はなかなか味わえない。


長島ダム駅では機関車連結を見るために乗客が集まる。

とにかく貴重なシーン満載の南アルプスあぷとラインだ。
 


アプト式機関車

南アルプスあぷとラインの“アプトいちしろ駅”〜“長島ダム駅”間は、日本の鉄道路線で最も急な区間となっています。

この坂を登るため、列車にアプトいちしろ駅でアプト式機関車を連結します。

アプト式機関車には「ラックホイールピニオン」という坂道専用の歯車が付いています。

線路の真ん中に敷設された「ラックレール」という歯形レールを噛み合わせて坂道を上り下りします。



千頭で急行に乗り換える。ようやくいつもの広い車内、座席になった。

さっそく反省会だ。今回も反省することだらけ。


でもちゃんと紙コップまでいつの間にか仕入れている。

こういうことだけはしっかりしている。
 


分かれた静岡組2名も無事峠を越えて順調らしい。

走りたかったが、たぶん無理だった。走っていたら、二日連続でナイトランとなったに違いない。

撤退の悔しさよりも、秘境の鉄道旅の方が勝って大満足のフィナーレであった。
 

距離: 23.2 km
所要時間: 4 時間 5 分 19 秒
平均速度: 毎時 5.7 km
最小標高: 410 m
最大標高: 668 m
累積標高(登り): 965 m
累積標高(下り): 1010 m

(2015/11/23 走行)


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