峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2015 >  暗峠




日本一の激坂と噂の暗峠。多くのレポートやYouTubeの動画が公開されている。

電動自転車での挑戦にはじまり、足を着かずに登り切れるか、そしてタイムを競うまでに。


「峠への招待」としては、何としても一度は実走しなければならない。

ということで、今回近畿地方を訪れる機会を得て、無理やりこの峠越えを予定に組み入れた。
 



午前中は奈良を散策して、15時過ぎに近鉄額田(ぬかた)駅に到着した。

小さな駅で、目の前はすぐに住宅街だ。

すぐに組み立てて暗峠への道へ向かう。これから峠を越えて宿まで行くのだが、果たして間に合うだろうか?


額田駅の標高が73m。峠まで382mの登りだ。標高差は大したことないが、距離が2.5kmしかない。

単純に計算しても平均勾配は15.28%! 峠への分岐からだと平均勾配16.6%にもなる。信じられない勾配だ。
 


駅から200mも行くと峠への分岐だ。路面はいきなり滑り止め加工されたコンクリート舗装だ。

さっそく降りる。乗れません。無理です。荷物もたっぷりあって、押すのでさえ厳しい。

振り返れば、すでに下界に街並みが広がっている。あっという間に標高を稼ぐ・・・
 


いろいろな解説によれば、暗峠の特長は勾配15%から始まり20%、30%、 40%と上がっていくという。

まだ序盤の入口辺りは、驚くに値しない「平地」なのだそうだ。ひえぇ−


周囲は民家が立ち並び、時折歩いている人とすれ違う。犬を連れて散歩している人もいる。

いったい、毎日この坂の中でどうやって暮らしているのだろうか? いやあ大変なことだ。
 


この道を自転車で登るだって? ありえない、ありえない・・・無理無理。

まあ電動自転車ならローギヤでなんとか行けそうな感じはする。


全体重をハンドルに預け、体が路面と水平になりそうなぐらい前傾して、一歩一歩進んでいく。

ふくらはぎが吊りそうになるぐらい足に力が入る。止まると、ブレーキをかけないとズルズルとバックする・・・

もう異常としか言いようのない勾配だ。これで20%ぐらいだろうか? まだまだ凄いのがあるのか?
 


写真を撮ろうにも自転車が急坂で止められない。ガードレールに立てかけてもそのままバックしてしまう。

上から下ってきた人と話をしたら、この下りでは自転車のブレーキワイヤーが切れる、と言っていた。

たしかにそうかも。


下の写真はカメラが傾いているのではありませんよ。ほんとにこんな坂の連続です。

一ミリも乗車できません。ありえません。無理無理。
 


時折車が追い抜いていくけれど、さすがにこの最大の難所ではローでも厳しそうだった。

路面には無数のタイヤ痕。ここで一旦止まったらなかなか発進できないだろうな・・・


このカーブの外側が勾配35%、内側が41%だとか・・・もう、バカでしょう、この道路。

さすがにこのヘアピンを味わうと、他の坂は平に見えてくる?・・・そんなわけないけれど、段々慣れてくる。
 


最後は徐々に勾配も緩くなり、石畳が現れると自分でも乗車できるほどになった。

やはり峠は乗車して越えないと、ということで何とか乗車して峠に到着。結局乗車距離100mぐらいかな。

峠も凄い状況だ。これで国道なのだからさらに驚きだ。
 


峠にはなんと茶屋がある。この道路状況で、ここに茶屋があるなんて信じられない。

ちょうどそこへ郵便配達の車がやってきた。ここまで配達するのか・・・ホントご苦労様としか言いようがない。


峠の茶屋で一服。お客さんも数人いて、お店の人と楽しそうに話をしていた。

多くのサイクリストが訪れるのか、自転車は珍しくなさそうだった。
 


駅を出発して峠まで55分かかった。

まあ、写真を撮ったり休んでいたりしたからあまり参考にはならないかもしれない。


峠からの下りはじめは、真上の信貴生駒スカイラインの狭いトンネルを抜ける。ここも凄い勾配だ。

反対側にはこんな注意書きの看板が掲げてある。まあ、とにかく何もかも凄い峠には違いない。
 


パット明るく奈良側の視界が広がる。道路も倍以上広くなる。さあ、急降下だ。

登りも凄ければ、下りも凄い。ブレーキワイヤーがブチ切れるほどの急勾配だ。

ブレーキシューもずいぶん減ってしまったかもしれない。いやぁ、やはり噂通りの凄い峠だ。
 


夕暮れが迫ってきた。近鉄生駒線に沿って南下する。

本日の宿、「かんぽの宿 大和平群(やまとへぐり)」が見えてきた。


いい一日だった。午前と午後で二つのツーリングを満喫することができた。

輪行の機動力、そして綿密なプランニング、時間配分に大満足だ。

そんなご機嫌な夜は、良々音(いいね)で乾杯だ!
 


最後にYouTubeからこの方の動画を紹介しよう。とにかく驚きの走りだ。

プロ・ロードレーサーとはこれほどすごいのか!(ジロにも出場した人だそうです) 

YouTube   暗峠を日本で一番速く自転車で登ってみた
 

距離: 10.6 km
所要時間: 1 時間 48 分 44 秒
平均速度: 毎時 5.8 km
最小標高: 66 m
最大標高: 456 m
累積標高(登り): 425 m
累積標高(下り): 386 m

(2015/10/18 走行)


峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2015 >  暗峠

inserted by FC2 system