峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2015 >  渥美・豊橋自転車道




豊橋駅に降りる。10月も半ばともなればかなり涼しい。

今日から4泊5日のツーリングが始まる。


まずは渥美・豊橋自転車道を走ることに。

街中を抜けて海岸を目指す。交通量が多いのでしばらくはじっと我慢。


国道42号を伊良湖岬方面へ曲がる。

自転車道の入り口がよくわからないので、海岸線へ出れば見つかるだろうと、適当な所から海へ出てみる。

浜辺には釣り人が何人もいて、車も入ってきている。


この道が自転車道? どんな道なのか情報がなかったので、ひょっとしたらこの先で自転車道と繋がっているかも・・・

と期待して、砂地を乗ったり押したりして進んでいく。


しばらく馬鹿な前進をしたが、こりゃおかしいということで戻ることに。いきなり、ここで時間と体力のロス。

国道へ戻って、次の信号まで行ったらしっかり自転車道の案内がありました・・・あ〜ぁ。
 


大きな案内板が建っていて、この先伊良湖岬までのルートが記されている。

さあ、快適なシーサイドコースを期待してのスタートだ。


スタートして畑を見ながら走り抜けると、路面は一面落ち葉に覆い隠され、この先大丈夫なのかとちょっと心配になってくる。

荒天の後だと、かなり路面も散らかっているかもしれない。


前半はほとんど視界も開けず、木々に遮られた中を淡々と進む。

唯一、橋を渡るような箇所に来た時だけ瞬間的に海が見える。


この雰囲気、どこかで味わったなぁ・・・と思い出していたらわかった、利尻島だった。

利尻の自転車道も、こんな高台を走る感じがなんとなく似ている。
 


海が見たい。海岸沿いを走りたい。せっかく来たのに海が見えないなんて・・・

さすがに欲求不満になってきて、一旦浜辺へ寄り道してみる。


するとまた砂浜へ。うわぁ、またやってしまった。

砂浜へ出ちゃダメなんだって・・・おとなしく自転車道走らないと・・・


今度は戻るのが面倒で、そのまま浜辺を直進。なんとか本線に合流できた。

そして一気に、ここからはシーサイドコースになった。
 


暗く木々に閉ざされていた景色から、明るく太陽輝く海岸へ飛び出てきた。

浜辺には多くのサーファーと釣り人の姿が見える。

この時間、一生懸命働いている人には、本当に申し訳ないと思えるほど自由で開放的な眺めだ。


真っすぐに伸びる自転車道。前にも後ろにも人の姿は見えない。

走っても走っても景色が変わらない。オホーツク海岸や太平洋岸自転車道を走った時も同じだった。

スケールの大きい所って、自転車で少し走ったぐらいじゃ、景色って変わらないんですよね。
 


波の音を聞きながら走れるって本当に贅沢だ。

よっぽど海岸のそばを走らないと聞こえないし、近くに車が走っていたり、人が多くてもだめだ。


この自転車道は他の騒音が全く聞こえない、完全に波の音しか聞こえてこない。

素晴らしい、見事な自転車道だ。文句なしの満点をつけたい。


正面に伊良湖崎、浮かんで見える神島、微かに見える答志島。だいぶ近づいてきた。

道は一旦海岸線を離れ、山の中へヒルクライム。

そして再び海が見えてくると、目の前に恋路ヶ浜の絶景が広がる。本当に綺麗な、素敵な眺めだ。
 


さすがに空腹になり、ここで休憩。

雄大な眺めを目の前に、大あさりでまずは至福のひと時。いやぁ、うまいなぁ。。

ゆっくりしたいところだが、フェリーの時間も迫っているので軽く済ませる。


今日のコース、 スタート直後はいまひとつ物足らなかったが、次第に絶好調になってきた。

これからフェリーを乗り継いで答志島まで行くと思うと、もうワクワクドキドキ。


さて乗船。

伊良湖から鳥羽まで約50分、一人甲板のベンチに座り、伊勢湾の眺めをのんびり楽しむフェリー旅。


船旅はツーリングを優雅にしてくれる。この何もかもゆっくりとした時間がたまらない。

出港から接岸までのちょっとしたドラマがなかなか魅力だ。
 


16:45発 鳥羽から答志行の定期船に乗り換える。

自転車は、他の乗客の手荷物と一緒に船内の端っこにロープで括り付けられる。


船内は地元の人ばかりだ。毎日の生活の足となっているのだろう。

旅行者らしき呑気な人は、自分以外誰もいなかった。


和具漁港を経由して約35分の小さな船旅。船が変わればまた印象も変わる。

流れる景色も、揺れ方も、エンジンの音もまた違う。

楽しくて、子供みたいに動き回っているうちに答志漁港に到着した。
 


漁港へ降りた瞬間、何か異国の地へ来たような錯覚に陥る。

漁港には独特の雰囲気があって、船が着くと港は一気に活気づく。

答志島は離島と呼ぶには近すぎるが、やはり島には島固有の雰囲気が漂う。


「お帰り〜」「今日はどうだった?」 子供たちにお年寄りが声をかける。

中学生かな? 船で通学しているのだろうか? 都会では考えられないような生活の一場面。

こんな会話を聞きながら走り出す。
 


本日の宿は、漁港の目の前。あっという間に到着。

どうやら今日の宿泊客は自分一人みたいだ。


部屋の窓からは、正面にすぐ漁港が見える。そして伊勢湾の眺めが広がる。

やっぱりここは島だ。周りがすべて海だ。

なんて絶景なのだろう。窓際のソファーに座って港を眺めているだけで時が過ぎる。


今日の夕食は部屋食で優雅なひと時。

静かに、勝手に、好きなように夕食を楽しめる贅沢。


ふと気が付いて箸袋を見てみると、なんと答志小唄が。

一番から四番まで、なんともまあ旅情あふれる詩なのでしょうか。


聞いてみたいですね〜、答志小唄。

「今日もきました 答志島」かぁ〜。 明日ゆっくり散策しよう。
 

距離: 95.7 km (フェリー含む)
所要時間: 8 時間 41 分 23 秒
平均速度: 毎時 11.0 km
最小標高: 0 m
最大標高: 75 m
累積標高(登り): 611 m
累積標高(下り): 612 m

(2015/10/15 走行)


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