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(岡山県和気町のホームページより)


今回も 「自転車と旅 Vol.1」で紹介されているコースを参考にさせてもらいました。


 

今日も朝からいい天気だ。

早朝の下津井漁港を走り始める。

瀬戸大橋の下をくぐると、橋の全景が見えてくる。

遥か彼方、四国まで橋が延々と続いている。

車がほんとに小さな点でしか見えない。

あまりの巨大な建築物に圧倒されるばかりだ。

とにかく凄いの一言だ。

日本の土木、建築技術の素晴らしさに感動する。

 

見事な眺めだ。

点在する小島の間を漁船が行き来する。

海の碧さ、空の青さ、そして真っ白な橋の調和が美しい。

 

 

 

楽しかった下津井の町。

また、おいしいタコを食べにぜひ訪れたい。


さて、今日もまずは輪行だ。

児島駅から岡山経由で西片上駅まで行く。

ローカル線に揺られながら、しばし車窓からの眺めを楽しむ。


11時過ぎに西片上駅到着。何もない小さな駅だ。

こんな駅で降りてどうするんだろう? と、車内の乗客が皆こちらを見ていた。

目の前の国道をトラックがビュンビュン走る。

周囲には、お店も人の姿も全く無い。

炎天下、残暑厳しい中、遊んでいるのは自分だけだ。

 

 

 

 

毎日輪行ばかりしているから、組み立ても早い。

さっそく「片鉄ロマン街道」起点を目指して走り始める。

起点は、小学校の先、山陽新幹線の高架下から始まる。

きれいにデザインされた自転車道の看板が立っている。

終点 柵原(やなはら)まで34.2kmと表示されている。

十分すぎる道幅の自転車道が、この先緩く登っているのが見通せる。

昨日の自転車道も素晴らしかった。

天気といい、ロケーションといい、周囲の雰囲気といい、今日はいったいどんな道なのだろうと思うと、ワクワクするばかりである。

駅前で食料は手に入らなかったが、まあこの先どこかで何とかなるだろう。

11:50 いよいよ出発だ。

のんびり、ゆっくり、「片鉄ロマン街道」を楽しみましょう。

 

 

 

走り始めてまず驚くことは、これは本当に自転車のための道なのか? 
ということだ。

あまりに道幅が広く、きれいに整備され、そして誰も通る人がいない。

こんな、ゆったりとした、贅沢な、そして完成された自転車道は初めてだ。

 

スタートしてすぐに、当時の写真を飾った案内が現れる。

28.6と記された、登り勾配標識も残っていて、廃線跡の雰囲気が盛り上がる。

同じ場所で撮影したと思われ、ここをこの列車が走っていたということが実感できる。

こうしたサービス、気配りが素晴らしい。

ただ、廃線跡を残したというだけではない。

大切に守られ、維持され、そして愛されていることがよく分かる。

 


セミの音がうるさい。

それほど静かだ、ということだ。

風もなく蒸し暑いが、この静けさは都会では絶対に味わえない。

緩い勾配を登って行くと、正面にトンネルが見えてくる。

出口まで一直線の、これぞトンネル、と言わんばかりの眺めだ。

「峠清水トンネル」と記されている。

この坂を、そしてこのトンネルを列車が走ったのだ。

当時はいったい、どんな様子だったのだろうか、と思うばかりだ。

トンネルの中は涼しく、冷たい風が吹き抜ける。

なんとも言えぬ心地よさだ。

贅沢だ。贅沢すぎる。貸切だ。誰もいない。
一人で走ってはもったいない。誰かに教えたい。

そう思った。

 

トンネルを抜けた後も、広く、開放的な、そしてまっすぐな道が続く。

ああ、なんて素晴らしい自転車道なのだろう。何度言ってもいい足りないくらいだ。

和気の駅を通り抜けると、再び素晴らしい自転車道が待っている。

 

天瀬駅に到着する。

木造の旧駅舎が見事に保存されていて、中は自由に利用できる。

今でもこのまま使えそうな感じだ。

きれいに掃除された駅舎のベンチでランチタイムにする。

開放された駅舎の中を、心地よい風が吹き抜ける。

 

駅舎の向かいでは、お年寄りが畑仕事している。

のどかで、静かで、ゆったりとした昼下がり。あわただしいものが何一つ無い、といった感じだ。

こんな贅沢な道が30km以上に渡って続くのだから・・・まあ、とにかく究極のポタリングコースですね。

 

休憩していると、ようやくサイクリストが一人現れた。
MTBでのポタリングといった感じだ。

近場の人だろうか? 装備も少ない。
うらやましい、こんな素敵な場所が近くにあるなんて。

ここは、四季を通じて何度走っても大満足できるコースでしょう。


写真撮影の名所みたいで、桜の季節には見事な眺めでしょうね。

(下の写真はネットからお借りしました)

 

 

 

 

 

 

 

 


備前矢田の駅を過ぎ、国道と平行して走るようになるが、完全に独立した自転車道なので車に邪魔される心配はない。

さらに、自転車道は国道の上を行くため、上から車を見下ろしながらの走行は、優越感に浸れてとても爽快だ。

うーん、何もかも出来すぎ〜!  完全に参りました。

苦木(にがき)の駅舎もきれいに保存されていて、本当に手入れが行き届いているのがよく分かる。

岡山県、自転車道に相当な理解があるな〜としみじみ感じる。

 

15:30 吉ケ原の駅に到着。

楽しかった「片鉄ロマン街道」も終点だ。

 

柵原ふれあい鉱山公園では、色々と見学できたり、体験乗車できたりと楽しめるのだが、シーズン外れの、それも午後も遅い時間となれば、誰も訪れる人はいない。

駅舎も閉まっていて残念。

中に入れば色々と記念になるものが見れたのだが・・・


事前に詳しく調べてくればよかったのだが、残念ながらそこまでの鉄道ファンではなかったので、また次の機会のお楽しみとしておこう。

おかげで、誰もいないので写真撮り放題だ。


遠慮なく自転車降ろしてパチリ。

混んでる時じゃこんなことできないでしょうね。

一日中廃線跡を堪能し、フィナーレに実際の列車を見ることができるなんて、なんと憎いコースなのでしょう!

このコースは下から 北上したほうがドラマチックでいいでしょうね。

 

 

さてさて、本日は、これからが真剣な走り。宿まではまだ15km、 約300mの登りだ。

かんぽの宿、なんたってどこも高い所に建っているから、最後のヒルクライムはいつも激坂だ。

料理もうまいし、一人旅には居心地がいいから、最後の激坂ぐらいなんてことないんだがぁ・・・やっぱりヒドイ・・

でもこの宿も廃止かぁ、残念ですね・・・


 


 

距離: 52.4 km 
所要時間: 5 時間 36 分 53 秒
平均速度: 毎時 9.3 km
最小標高: 9 m
最大標高: 208 m
累積標高(登り): 590 m
累積標高(下り): 394 m

(2013/9/10 走行)


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