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(しまなみ海道)


 

サイクリスト憧れの地、「しまなみ海道」。

日本が世界に誇るこのサイクリングコースは、やはり一度走らないといけない。

いつか、いつかと考えていてもなかなか行く機会がない。

東京からは果てしなく遠い。そして2、3日で走り通してはもったいないエリアだ。

行くなら一島ずつすべて周回し、島に滞在し隅々まで見て回りたいと思った。

島の一部をかすめる様に走り抜けるルートでは、本当の島の良さを感じることはできない。

2010年9月に遅めの夏休みをとり、いざしまなみ海道を目指す。

キャンプ道具、そしてランドナーとレーサーを車に積んで、有明港フェリー乗り場に向かった。


2010年9月8日 PM(水)
(因島 北部周回)


生口島を午前中に一周して、すぐに因島へ車で移動してきた。

スタートは島北部のしまなみビーチ。すでに14時すぎなので、この時間からでは因島を周回することは不可能だ。

今日は北部を軽く周回して戻ってくるコースで時間切れだろう。まずは大浜埼灯台を見学する。


因島大橋の真下を通り抜けると、さすがに橋の大きを実感する。

潮の流れが早く、あちこちで小さな渦を巻いている。

訪れる人もいなくて静かなのだが、それでもぶつかり合う水の音が響いてくる。


次に訪れたのが「因島水軍城」だ。

やはり因島へ来たならばここへ立ち寄って、村上水軍の勉強をしないといけない。


村上水軍は、主に中世の瀬戸内海で活躍した海賊衆だ。

史料館を見学すると、滅多に触れることができない貴重な「水軍」に関する展示物が豊富だ。

海上での戦いとなると知らないことだらけだ。とても勉強になる見学であった。


時間もなくデポ地を目指して走るが、因島は交通量が多くて走りにくい。

島の中心部を走ったので仕方ないが、これまでの島の中で一番交通量が多いと感じた。

後半の写真がほとんどないのは、それほど写真を撮りたくなる所がなかったということだろう。


16時過ぎに車に戻ってきた。2時間少々の短い北部周回であった。

さて、今日はどこで寝ようかと考える。

まずは温泉に入りたいが、この付近にはない。そして寝場所もいい所がない。


やっぱり大三島が最高だ・・・ということで再び大三島へワープする。

車があるって最高です。車がなければこんなことは不可能だ。

温泉に入ってあちこち場所探しに迷った挙句、前回と同じ場所に今夜も落ち着く。
 


日が落ちてきたら、夕日を眺めながらの晩酌タイム。

誰もいない静かな高台で、好きな音楽を流しながら沈みゆく夕日を眺める。


このスタイルにはまってしまうともうだめだ。宿に泊まろうなんていう気にはなれない。

不便ことはいくらでもあるが、それ以上に素敵なことがたくさんある。

今宵もいつまでもバッテリーライトの蛍光灯の下、最高のキャンプサイトを楽しんだ。

距離: 17.1 km
所要時間: 2 時間 00 分 00 秒
平均速度: 毎時 8.5 km
最小標高: 0 m
最大標高: 62 m
累積標高(登り): 149 m
累積標高(下り): 149 m

(2010/9/8 走行)


2010年9月9日 AM(木)
(因島 南部周回)


今日もいい天気だ。毎日毎日天気に恵まれている。

大三島から再び因島へ戻る。早朝の因島の街中に車をデポする。


平日の通勤時間帯なので、街の中は活気づいている。呑気にサイクリングしている奴なんて誰もいない。

因島の後半戦は生口橋付近からスタートする。


まだ時間は8時前。自転車通学の学生があちこちに見える。

都会の通勤・通学風景とは似ても似つかぬ、ゆったりとしたほほえましい光景だ。


因島外浦町まで来ると、「棋聖 本因坊秀策 生誕の地」がある。

本因坊秀策は幕末に活躍し、将軍の前での対局「御城碁」で13年間、19連勝という大記録を成し遂げた史上最強の棋士だそうだ。

記念館もあるが、ちょっと自分には守備範囲外なのでここはパス。


フロントバッグにはガイドブック、そしてガーミンのGPSが道案内をしてくれる。

因島の東海岸へ出てくると、向島へつながる因島大橋が見えてくる。

これまでの海岸線の眺めとは一味違うスケール感がある。


隣の島まで多少離れているので、空も海もとても広く大きく感じる。

因島水軍スカイラインと呼ばれるこの道は、自転車でのんびり走るのに最高だ。


途中、散歩中のワンコに出会った。人に会うのは珍しいのか、こちらの顔をじっと見ている。

少々会話して休憩する。ワンコも満足したのか、先頭切って自宅へ降りて行った。


標高を少し稼ぐと、目の前の展望が大きく広がる。遮るものが何もないので、眼下に海が大きく迫ってくる。

大きな船がちょうど横切ろうとしている。何の船なのだろうか。見ただけではよくわからない。


なかなか素晴らしい道だ。因島へ来たならば、ここを走らないともったいない。

昨日の後半は交通量が多くて参ったが、やはりここまでくるとほとんど車も通らない。


道路脇には因島が発祥の八朔(はっさく)の木が並ぶ。

「ハッサク」という名前は、「八朔(旧暦の8月1日で現在の9月)」頃になると食べられることが由来といわれる。

しかし、実際にはこの頃はまだ熟していないので食べられず、ハッサクが店頭に並ぶのは1〜4月頃だ。


因島東海岸は、本当に自然豊かな、ダイナミックな景観が続く。

しかし暑い。自動販売機の一つもない。やっと現れた休憩所で一息つく。


海岸線を辿っていくと地蔵鼻に到着する。自転車を入口に置いて見学に行く。
 


かなり海まで下らないとならないが、やがて石仏の並ぶ海岸線に降りる。

遊歩道が整備されていて、ここで釣りをしている人が数人いる。


地蔵鼻の先端は海に水没していて、干潮にならないと姿が見えないようだ。

この地蔵は、村上水軍に捕らえられて命を落とした娘の菩提を弔うために掘られたものらしい。


造船所のすぐ脇を通り過ぎると、巨大な船が視界に飛び込んでくる。

間近に見ると、やはり船の大きさに圧倒される。


4時間以上かかって車に戻ってきた。かなり内容が充実し、走り応えがあった。

二日にかけて因島を周回して正解だった。一日で周ると結構大変かもしれない。


午前中は因島を楽しんで、午後は向島・岩子島へ向かう。

その途中、自転車では行けなかった白滝山へ車で登る。


ここも観光スポットなのでどうしても外せない。しかし、自転車で登るには辛すぎる。

車があって本当に良かった。おかげでこんな素晴らしい絶景を満喫することができた。


いやはや、ここからの眺めは一級品ですね。

多くの石仏とともに、海、島、そして橋。何もかもが「絵」になる眺めだ。


歌人の吉井勇は、「白滝の山に登れば眼路広し 島あれば海 海あれば島」と詠んでいる。

素晴らしい島だった因島。この絶景をいつまでも眺めていたいが、午後は次の島が待っている。

 

距離: 25.6 km
所要時間: 4 時間 30 分 00 秒
平均速度: 毎時 5.6 km
最小標高: 0 m
最大標高: 106 m
累積標高(登り): 367 m
累積標高(下り): 367 m

(2010/9/9 走行)


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