峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2010 >  生口島(しまなみ海道)



(しまなみ海道)


 

サイクリスト憧れの地、「しまなみ海道」。

日本が世界に誇るこのサイクリングコースは、やはり一度走らないといけない。

いつか、いつかと考えていてもなかなか行く機会がない。

東京からは果てしなく遠い。そして2、3日で走り通してはもったいないエリアだ。

行くなら一島ずつすべて周回し、島に滞在し隅々まで見て回りたいと思った。

島の一部をかすめる様に走り抜けるルートでは、本当の島の良さを感じることはできない。

2010年9月に遅めの夏休みをとり、いざしまなみ海道を目指す。

キャンプ道具、そしてランドナーとレーサーを車に積んで、有明港フェリー乗り場に向かった。


2010年9月8日 AM(水)
(生口島周回)


台風の余波で雲の流れが慌ただしい。昨日の夜は多少雨が降ったが、次第に天気も回復してきた。

大三島から生口島へ車で移動する。今日のスタートは瀬戸田サンセットビーチだ。

ここ生口島は、日本画家、平山郁夫画伯の出身地だ。海岸には画伯のスケッチオブジェが設置されている。


しまなみ海道には、「平山郁夫画伯 しまなみ海道五十三次 スケッチポイント」が60点も設置されているらしい。

スケッチポイントとなれば、名所や景色の素晴らしい所なのだろう。


この60ケ所をすべて巡れば、しまなみ海道を隅々まで見て回ることができると思った。

すべてを自転車で訪ねる旅なんて企画したら、結構楽しめるかもしれない。
http://hirayama-museum.or.jp/shimanami.html
 


生口島はとってもポップな島だ。他の島とは雰囲気がガラッと変わって、とても明るい景観だ。

生口島は「島ごと美術館」と言われ、生口島全体が美術館というコンセプトのもと、著名な美術評論家から推薦をもらった
作家たちによる野外彫刻が設置されている。


海岸線を走っていると、次々に変わったオブジェが現れてくる。

何を表現しているのかよくわからないけれど、なかなかユニークな作品ばかりだ。


生口島は自転車専用道が整備されていてとても快適だ。

ほとんど平坦な道ばかりで、ほぼフラットな道が続く。これなら一般の自転車でも全く苦にならない。

海に向かって建つ
「一本松地蔵」。福田沖での「小早川氏と大内氏の戦い」の戦死者供養の為に建立されたという。


高根島(こうねしま)へ渡る高根大橋の下には、「亀の首岩とお地蔵さまの伝説」の案内がある。

干潮になればお地蔵さまの全体が見えるのだろうが、この時間は海に浮かんでいるようにしか見えない。


【亀の首地蔵伝説】
昔、瀬戸田の周りにはたくさんの亀が住んでいたそうです。
その中に「亀主」という亀の総大将がいて、近くを通る船を沈めては人を食べていました。
その船も通らなくなると、今度は村の庄屋に毎年1人ずつ村人を差し出すように命令しました。

そんな要求に村人が困っていると向上寺の「調明」という小僧が亀を退治すると言いました。
それから亀主のところへ行き「私があなたに食べられるのはいとわないけども、その際は向上寺の仏の前で食べてもらいたい」と必死に頼んだところ、亀主は調明の願いを聞き入れました。

しかし向上寺は山の上。海に住む亀が山を登るのは難しく、しだいにぐったりしてしまいました。
そこで調明は隠し持っていた刀で亀主の首を切り落とし、その首は海の中に落ちて見る見るうちに岩に変わりました。

亀がいなくなり、自由に船が航行できるようになりましたが、その岩のそばでしばしば海難が起こるようになりました。
そこで海難防止と亀主の霊の供養のためお地蔵さんを立てたといわれています。
また調明は仏に仕える身で殺生をしたことにより、罰として松の木に変えられたということです。



「亀の首地蔵伝説」の向上寺へ行ってみる。

強烈な階段を登っていくと、「国宝 向上寺三重塔」が現れる。これじゃ亀さんは登れないはずだ。


ひっそり佇む向上寺からは、美しい瀬戸内海の景色を楽しめる。

すぐ近くに平山郁夫美術館があるので行ってみることに。素晴らしい作品の数々に、心が洗われるようだった。


半周まわって、因島へ渡る生口橋が見えてきた。

橋をくぐると、その先はフェリー乗り場だ。やはり隣の島へ渡るには、フェリーが生活の足のようだ。


生口島はなかなかいい島だった。芸術や文化・歴史に触れられ、走りやすい道と美しい景色に魅了された。

目の前にはスタート地点の瀬戸田サンセットビーチが近づいてきた。

さて、今日も午後からは隣の因島を巡る。



 
距離: 24.4 km
所要時間: 3 時間 00 分 00 秒
平均速度: 毎時 8.1 km
最小標高: 0 m
最大標高: 21 m
累積標高(登り): 45 m
累積標高(下り): 45 m

(2010/9/8 走行)


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