峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2007 >  一本松峠・猿ケ馬場峠・三和峠



2007年5月5日(土)


今日も戸倉温泉からスタートだ。最高の天気に心が弾む。まずは千曲川を北上する。

素晴らしい自転車道だ。何一つケチのつけようもない素敵な道だ。


毎日こんな環境の中で走れるサイクリストがうらやましくて仕方がない。

前を見ても、振り返ってもこの眺めだ。素晴らしい。


朝は結構自転車の姿を目にする。通勤、通学の自転車だろうか。

なんて思っていたら、なんと若い女の子が一輪車で突っ走ってきたのには驚いた。


今日のコースは結構厳しい。3つの峠を越えて周回してくるが、かなりの標高差がある。

しかし、実に内容の濃いコースだ。信州のいい所をすべて盛り込んだ感じの一日だ。


千曲川から離れ姨捨へ向かう。一気に急勾配の登りが始る。

この道を自転車で行く人はいるのだろうか? 辛いだけで何もいいことがない。


姨捨は「日本三大車窓」に数えられる眺望や、日本の棚田百選の景観を誇る場所。

上から眺めるだけじゃなく、一度下から登ってみたかった。

かなりきつい登りだ。しかし一歩一歩進むごとに展望がどんどん広がってくる。


途中の長楽寺で一休み。お堂の中には何やら飼い猫らしき真っ白な猫がくつろいでいる。

そこへ現れたお寺の住職だろうか、歩いていくとずっと側から離れず、脚の間をくぐりぬけ、とにかく離れない。


あぁ、平和な光景だ。猫とお寺と住職。なんて心温まる光景なのだろう。

この絶景で、この環境で、いったい猫とどんな毎日が過ごされているのだろう。


姨捨駅まではかなり辛い登りと押しだった。この絶景が無ければまず登りたくないルートだ。

姨捨駅はスイッチバックでも有名な駅だけあって、さすがに観光客の姿が多い。


ホームまで自転車も入れるので記念撮影。せっかくなので、階段を渡って絶景を眺める。

ホームには絶景を眺められる様に、椅子が反対側に向けて置かれている。こんな駅ここだけでしょう。

しかし凄い眺めだ。何もかもがミニチュア模型のように見える。きっと夜景も素晴らしいのだろうな。


今日の登りはまだまだこれからが本番。

静かで景色も良く、そしてじっくりと登っていける峠道が始まる。


穏やかな気候の中、静かな峠道に鳥のさえずりがよく聞こえる。

千曲高原の立派な標識を過ぎると、「一本松峠を経て 聖湖 4.4km」の案内がある。(中部北陸自然歩道)


一本松峠は、峠のピーク感は全くない。道の起伏もない通過点に立派な石碑が建っている。

しかし地図上の一本松峠はもう少し先だ。まあ、こういうことはたまにある。

何かの理由で峠の標識を移動したとかで、歴史上の場所と標識がずれているということかもしれない。


一本松峠から一旦下ると聖湖に出る。ここは静かな観光地だ。

気持ちのいい高原地帯にある小さな湖だが、とても雰囲気のいい心和む湖だ。


聖湖の端の緩やかなピークが猿ケ馬場峠だ。

峠の標識が見当たらないので道路脇から登ってみると、こんな大きな記念碑があった。

「北国西街道改鑿(かいさく)記念碑」。どうやらここが猿ケ馬場峠の境のようである。


記念碑の裏側には「村境 更級郡八幡村 東筑摩郡麻績村 建之 昭和十一年十一月三日」と記されている。

もうひとつ足元の小さな石柱には、「従是北更級郡八幡村」と記されている。


猿ヶ馬場峠(さるがばばとうげ 日本山名辞典より)

長野県更埴市と東筑摩郡麻績村との境。篠ノ井線姨捨駅の南西 3km。標高964m。
南東に聖湖, それよりやや南にすずらん湖がある。 北国西街道(善光寺街道)の最後の峠である。
松尾芭蕉の「更科紀行」に、「猿がばば、たち峠などは四十八曲りとかや、九折重りて、 雲路にたどる心地せせらる」とある。


ちょうどお昼の時間。眺めのいい記念碑に腰かけて、のんびりと過ごす。

わざわざこの場所まで登ってくる人は誰もいない。道路と聖湖を見下ろせるので、とても気分がいい。


昼食後は、本日最後の峠三和峠まで230mの登りだ。

お腹も満たされて苦しいが、勾配もたいしたことなく、のんびりと高原の空気を味わいながら登っていく。


まもなく道路沿いの片隅に、「三和峠 標高1200m」の白い標識が現れた。

峠と言ってもしっかりとしたピーク感はなく、緩い下りの後まだ登りが続いている。


三和峠の先、標高1255m付近でピークを迎えると、あとはお待ちかねのダウンヒルが待っている。

スタートして6時間以上、今日はずっと登りばかりだったので、かなり心身ともに疲れている。

これでもう登らなくて済むと思うとほっとする。


ここからのダウンヒルは最高だ。道幅も広く、車も全く通らない。

気持ちのいい高原の中を、最高の風を浴びて急降下していく。


このまま一気に下ってしまってはもったいない。途中の「大岡アルプス展望公園」へ立ち寄ってみる。

晴れてはいるのだが、午後のこの時間では北アルプスの展望は今一つだ。

やはり午前中、早い時間でなければ絶景は拝めないだろう。またいつか来てみたい所だ。


ダウンヒルの途中、水が張られた田んぼが美しく光る。思わず止まって写真を撮りたくなる。

連休が終わると農家の方も忙しくなるのだろうな。その前のほんの静かな一コマなのかもしれない。


素晴らしい下りだった。再び千曲川に出て、自転車道を戸倉温泉へ向かう。

こうした起承転結のあるコースは実にまとまりがいい。


今日も昨日と同じ場所で車中泊だ。日帰り温泉に入れるし、キャンプも気兼ねなくできる。

今夜も焚火と音楽、そしておいしいビールで楽しいキャンプの夜が始まった。


 

距離: 57.7 km
所要時間: 8 時間 31 分 37 秒
平均速度: 毎時 6.8 km
最小標高: 367 m
最大標高: 1255 m
累積標高(登り): 1224 m
累積標高(下り): 1224 m


(2007/5/5 走行)


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