峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2006 >  八子ケ峰・上棒道




今回は、旅のバイブル”秘蔵版MTBツーリングブック”より、このコースにチャレンジしてみた。

ご存知この本は山岳サイクリング研究会の面々が、ここぞというコースを紹介している。

どれもこれも素晴らしコースばかりで、そのレベルの高さ、内容の充実さは他のガイドブックと比較にならない。


3連休の最終日を狙って、前日夕方から中央道に乗る。サービスエリアで仮眠して、翌朝白樺湖へ向かう。

見事な秋晴れとなった。朝日を浴びて美しく輝く白樺湖の後ろに、「諏訪富士」と呼ばれる蓼科山が聳える。
 


こんな朝っぱらから動き回っている人は誰もいない。静かな湖畔をのんびりと散歩する。

白樺湖は周囲4kmぐらいなので、まずはぐるりと一周して準備運動だ。

贅沢な朝だった。ちょっと北欧風の景色の中、気持ちよくポタリングを楽しむ。
 


さて、いよいよ本格的に走り始める。

すずらんの湯から信濃路自然歩道の案内に導かれて登り始める。


すぐに「銭岩」に到着。信玄の棒道が近いことから、軍用資金が隠されていたらしい。

このあたりからはお金がたくさん出てきた・・・らしい。どれどれ、と探してみるが、あるわけないよね。
 


登るにつれ展望が開け、眼下に白樺湖が広がってくる。

周囲はペンションや別荘が多く、何台もの車が止まっているが人の姿はまだ見えない。

白樺湖からのんびりと約1時間、約180m程登ると八子ケ峰公園に出る。
 


ここは気持ちいほど草原の広がる、開放感抜群の公園だ。ここからは、本格的な登りが待っている。

スキー場のリフトを真横に眺めながら、大草原の斜面を押していく。


あっという間に八子ケ峰公園が小さくなっていく。正面には霧ヶ峰の展望が広がる。

公園の人から見たら、こんな斜面を自転車で・・・アホか? って思うでしょうね。
 


さすがに標高も1600mを越えてくると、迫力ある山岳風景が目の前に広がってくる。

乗車できるようなところは全くない。


蓼科山が近づいてくると、山道も深い笹に覆われて、下が全く見えなくなってくる。

腰の高さまである笹をかき分け進むと、どーんと視界が開けて、美しい円錐形の山容が飛び込んでくる。
 


八子ケ峰へは、かなりきつい押し上げだ。

気合を入れてピークに達すると、さらなる絶景が目の前に広がる。


車山、美ヶ原、妙高、黒姫・・・北横岳から続く八ヶ岳の峰々・・・北アルプス、南アルプスの山々・・・

なんだこの大展望は・・・ぐるりと360度、大パノラマの眺めが圧倒する。
 


八子ケ峰東峰ピークを目指してさらに登る。GPSがゴールまでの方向と距離を示してくれる。

厳しいルートが続く場合、GPSの情報は非常に有効だ。

残りの距離、標高差がわかれば、体力の温存、時間の使い方も計画できる。
 


11:15 本日の最高地点に到達。標高1869m。

最高の天気で、もう何もかも恵まれすぎだ。ここでようやくハイカーひと組と出会う。
 


それにしても、こんな素晴らしい眺めを独占してしまって、もう何も言うことがない。

賑やかな歓声も聞こえず、派手な色のハイカーも視界に入ってこない。
 


とにかく空が広い! 何も視界を遮るものがないから、上を向けばどこまでも青空が広がる。

こんな素敵な青空を眺めるのは久しぶりだ。
 


体をぐるりと一周させないと、この大パノラマをすべて見ることはできない。


超広角レンズでも収まりきらないほどの展望だ。3000m級の山々はすでに白く冠雪している。

遠くに聳えるアルプス連峰が、まるでテレビの山岳番組を見ているかのような美しさだ。
 


最高の天気、最高のロケーションの中でのランチタイムになった。

今日は豊富にメニューを揃えてきた。やっぱりこの季節はグツグツと煮るのが一番。

まずはもつ鍋だ。こんな素敵な景色を眺めながら、キムチ入りもつ鍋なんて、もう贅沢の極み。
 


時間もたっぷりあるし、風もなく、邪魔も入らず文句なし。

お次はやっぱり、おでん。なんたって、秋から冬にかけてはこれがサイコーだ。

だしの染みた大根は特に絶品ですね。うーん、満腹。
 


十分に満足して下りに入る。まだ本日のコースの半分も来ていないが、もう満足感でいっぱいだ。

下りに入って前方に、30名ほどのハイカーが八子ケ峰ヒュッテに向かう姿が見えた。

ようやくここで人の姿をみることができた。今日来た人はラッキーですね、こんな最高の天気で。
 


八子ケ峰ヒュッテからは急降下して棒道の入口まで下る。

大きな岩が多く、ほとんど乗れる所はない。自転車を抱えての山道下りが20分ほど続く。


それでもやはり展望が素晴らしいため、楽しい下りを満喫できる。

棒道入口には立派な案内が建っている。さて、後半戦のスタートである。
 


信玄棒道は、以前に八ヶ岳山麓の道を走った経験があるので、今回も結構期待してきた。

八ヶ岳山麓の棒道は、多少の荒地はあるものの、結構乗車できて楽しい道であった。


さて、今日の棒道はどんな感じであろうか・・・といざ踏み込むと・・・

どひゃ、相当荒れた道が現れた。大きな岩が次々と現れ、とてもじゃないがMTBでも走破不可能。

入口からしばらくは、降りて、抱えて、越えての山道続きで、乗車率ゼロだ。
 


明るい山道下りで不安も心配もいらないが、落ち葉や草の下に隠れた岩が結構厄介だ。

気づかず岩に乗り上げれば滑るし、ぶつければ衝撃も激しい。


こんなところでアクシデントを起こすと、無人地帯でどうしようもない。

無理せず、馬鹿な事せず、慎重に下る。

次第に道も安定し、棒道の後半は乗車できるようになってくる。こうなればMTBの得意な道だ。
 


川沿いに深い森の中を抜けるように下ってくると、やがて建物の屋根と小橋が見えてくる。

ずっと無人地帯だっただけに、ようやく下界に戻ってこれたことでホットする。


ここが創業大正十五年の蓼科親湯温泉だ。ひっそりとした山の中に、こんな施設があることに驚きだ。

時間があれば立ち寄ってみたいが、残念ながらこれから最後の登りが待っている。
 


15:10 ビーナスラインから、舗装路をすずらん峠を目指す。

標高差約400m。いつもの計算で行けば1時間で行けるはずだ。

しかし、さすがにここまでの疲労がどっと出てきた。たいした勾配ではないが足が回らない。


踏み込む足に力が入らず、いつものペースからは程遠い。

辛い登りになった。最後はやっとの思いですずらん峠に到着した。


予定より30分も時間がかかってしまった。一息つくと、今度は一気に気温が下がってきた。

さすがにこの季節、16時過ぎに1750m地点にいたのでは寒いはずだ。息も白く見える。
 


あとは一気に車までダウンヒルだ。疲れた体も舗装路の下りで蘇る。

車に戻って、旅の最後はすずらん温泉で汗を流して締めくくった。

今回は天気に恵まれ、内容充実、展望抜群、そして難易度もちょうどいい素晴らしいコースであった。
 


 

距離: 29.4 km
所要時間: 9 時間 20 分 00 秒
平均速度: 毎時 3.1 km
最小標高: 1345 m
最大標高: 1875 m
累積標高(登り): 894 m
累積標高(下り): 894 m

(2006年10月9日 走行)


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