峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2005 >  焼山峠・乙女高原




前回のクラブランでたっぷり秋を満喫してきた。今月は欲張ってもう1回出かけることにした。

車中泊の準備をして、山梨県の乙女高原へ向かう。
 


さすがにこの季節になると車中泊も寒い。

しかし、寝袋に入ってしまえば朝までぐっすり眠れる。


翌朝、焼山峠まで一気に車で登る。

本当は走るべきだが、まともに登っては今日一日が終わってしまう。


ここは車で峠まで登り、楽して乙女高原を散策しようという考えだ。

焼山峠には昔と変わらず、多くのお地蔵さまが並んでいる。
 


子授け地蔵

江戸中期の頃、焼山峠の麓でごん鉢など生活用具を作る木地師がいた。
この夫婦が仕事をしていると峠付近で子供の泣く声が聞こえたのでそこへ行って見ると子供の様な石地蔵らしきものがあった。
夫婦は子供がいなかったので不思議に思い、石地蔵を人目につかぬようこっそりと自宅に持ち帰り、何日もお水や果物をささげ、朝な夕なにお参りをしていた。すると、不思議なことにその夫婦に子供が授かり、お礼に石地蔵を一体添えてお返ししたのが、子授け地蔵様のいわれとなり、口伝えに広がったもので、現在も新しいお地蔵様が数多く見られ、最近でも恩恵にあずかった県内外のご夫婦が多いといわれている。

https://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/citizen/docs/kosaduke.html



焼山峠から乙女高原へ向かう途中、木道が見えたのでちょっと散策してみた。

すっかり晩秋の景色になってしまい、周囲は何もかも枯れて寂しい限りだ。

この木道どこまで続くのかな、とちょっと期待したがすぐに終わってしまい車道に戻った。

 


今日は散策の一日。頑張って走る気もない。

冷たい空気を吸って、静かな山の中で時間を過ごしたいだけだ。

こうして一年が終わっていく。変わらないのは自然の美しさだけだ。
 


訪れる人も車もなく、もう観光シーズンは終了したことを感じる。

こんな時期に一人で晩秋を味わっていれば、自然と心は穏やかになる。
 


ちょうどいい東屋を見つけた。もはや周囲は自分ひとり。

前回のクラブランは大人数で賑やかだったけど、今日は静寂の世界だ。


唯一耳に聞こえてくるのは、降り積もった落ち葉を踏みしめる音だけだ。

シャリシャリと、乾ききった音だけが足元から聞こえてくる。
 


静かな時間を過ごし、静かな景色を眺め、静かに時を振り返る。

やっぱり、秋のツーリングは物思いにふけるには最高だ。
 


のんびりした一日だった。

いつもなら、峠を目指し、標高を稼ぎ、宿を目指して時間に追われた。

頑張れば頑張っただけ満足感も得られる。しかし心に余裕のあるツーリングはなかなかない。


晩秋の乙女高原を一日散策して、本当にのんびりと過ごすことができた。

たまにはこんなツーリングがあってもいい。本当に貴重な晩秋の一日だった。
 

(2005年11月 走行)


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