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2005年8月31日(水)PM (礼文島1日目)

礼文島巡り(桃岩展望台・元地海岸・澄海岬・スコトン岬・江戸屋山道・トド島展望台)


8月26日の夜に自宅を出発して、ちょうど今日がこの旅の折り返し地点。

11:00 礼文島 香深港に入港。さっそく、桃岩YHのお迎えが、大きな旗を振って待っていた。


お昼はもちろんウニ丼だ。色が違う、量が違う、そしてなんたって味が違う。ウマイ!

出港するフェリーを見ながら、さてこれからどうするかと思案する。


礼文島とは
礼文島は日本最北の離島です。稚内から西に約60キロ(北緯45度30分 東経141度4分)に位置し、島の大きさは南北に29km、東西に8kmと、細長い形をしています。

人々の生活は島の東側に集中しており、島の西側には車両が通行できる道路はありません。つまり、礼文島を一周する道路はありません。だからこそ、礼文島には手つかずの自然が残されているともいえます。

http://www.rebun.info/prof.htm



礼文島は利尻島のように一周することはできず、西海岸はまったく行くことができない。

よって、礼文島を自転車で巡るには、東海岸を南北に走る方法しかない。


それでも美しい観光スポットがいくつもあるので、自転車で巡るのもいい。

今回、礼文島に滞在できる時間は24時間しかない。明日の午前中には稚内へ向かわないとならない。


時間的に余裕がないため、車をふんだんに使って、観光スポット巡りとポタリングを兼ねることにした。

車を使えば礼文島巡りは短時間で可能だ。これを自転車だけで巡るにはかなり時間がかかる。

やはりここに車があることのメリットは大きい。


礼文島は高い樹木がなく、草地に覆われた緑豊かな島だ。

本当はトレッキングコースを一日かけて歩いてみたいところだ。

荒々しくも美しい緑に包まれる海岸線。他の島ではまず見ることができない景観だ。


桃岩展望台からの絶景。そして大きく聳えたつ利尻岳。今日は快晴で展望も文句なしだ。

シーズンオフの海岸に、唯一営業していた売店。いろいろなメニューが並んでいる。

どれも美味しそうだが、今日は時間もなくおあづけだ。


元地海岸の地蔵岩へ。海岸線まで降りていくと、その奇岩の迫力が迫ってくる。

地蔵岩の標識に近づいてみると・・・なんとその太い木には無数の硬貨が刺さっているではないか!

これにはギョっとして驚いてしまった。皆さん、何かの記念かお祈りに始めたのでしょうね、きっと。


桃岩は本当に「桃」の形に似ている。これで色がピンクだったら、まさに桃でしょう。

かの有名な「桃岩YH」へつながる道の入口に、駐車場と展望台がある。


この展望台に登ると、礼文島西海岸の展望が素晴らしい。

そして見下ろすと、行き止まりの先に赤い屋根の「桃岩YH」が見えた。


礼文島の北端へ向かう。

澄海(スカイ)岬とは、実にいい名前の岬だ。そして、ここの海の青さは凄すぎる。

本当にこんな色の海があるのかと疑いたくなるほどの美しさだ。


礼文島の北端、スコトン岬に車を置いて走り出す。

とうとうこんな北限まで自転車で走れるなんて、やっぱり長いこと旅をしてきたおかげだ。


まあ、普通の生活をしていたら、まずこの地を訪れることはないだろう。

もう、ほんのちょっと先は樺太だ。信じられない。


スコトン岬が極限かと思っていたら大きな間違いだった。

なんとこの岬の崖の下に宿があるというではないか! 「この下民家あり 石を投げないように」の看板が!

何ですって? まさか? と覗いてみると、確かに建物の屋根が見える。スゴイ、驚いた。参りました。


北限の岬に、派手なMTBが目立つ。こんな人工的な色は、この地には似合わないかもしれない。

何も持たずに軽装で走り出す。


何だろう、いつもの峠越えや林道とは全く違う感覚だ。

最北限という、あまりに桁外れの環境に、何をどうして楽しめばいいのか見当がつかない。


この一枚の写真を見たら、いったいここはどこなのだろうかと悩むだろう。

ひょっとしたら日本ではないかもしれない、と感じるかもしれない。


この荒々しい海岸線、切り立った岸壁、樹木のない山肌。

視界に入ってくる眺めが、これまで見てきた日本の風景とはまったく違う。


礼文島中腹を走る、江戸屋山道コースを気持ちよく走る。

こんな贅沢な道も本州ではあり得ないだろう。

遠く前方には利尻岳の姿がはっきり見える。島から島への眺望もこれだけ素晴らしい。


トド島展望台からは、無人島のトド島が良く見える。

かつてはトド漁が行なわれていて、人が住んでいたという。この島で暮らすとは、どれだけ凄いことか。


ゴロタ岬へ向かうハイキングコースに入ってみる。

岬まで600mと書いてあるが、結構辛そうな道なので途中で断念する。

しかし、この辺りはどこも広い草原のようで実に気持ちがいい。ゆっくり歩けばルンルン気分だろう。


ゴロタ岬へ向かう道の途中で、絶好の夕日スポットを見つけた。

さっそく車に戻って、今日はここで夕日を独占しようと移動してきた。


いやいや、このロケーションを見るだけで、もうあり得ないような満足感だ。

視界を遮るものが何もない。水平線がバッチリ見える。高台に位置し、車を置ける。そして誰もいない。


完璧だ!最高の時間がやって来た。

見事なまでに、沈む夕日が目の前に広がる。これまで見てきた夕日の中で文句なく1番だ。


完全に海に沈むまで、完全ドラマを見させてもらった。これは一生忘れられないシーンになった。

最高の夕日を堪能し、今夜の寝場所を求め桃岩へ向かう。


島の唯一の食料店で食料を調達し、桃岩の駐車場へ向かう。

今夜はここで車中泊だ。誰もいない広い駐車場で、好きなように夜を過ごす。


簡易ベッドを広げ、ひっくり返って夜空を見上げれば、異常なまでの星の数。

視界に入るものすべてが、自分のこれまでの常識を変えるほどの眺めだ。

美しい島、礼文島。やっぱり頑張ってここまでやって来た甲斐がある。


2005年9月1日(木)AM (礼文島2日目)

礼文島(香深港) 〜 稚内港


日の出とともに目が覚める。早朝の島の姿は美しい。さっそく展望台に登ってみる。

今朝は風が強く、海岸線には白い波が打ち寄せている。

桃岩YHも凄い所にある。まったく俗世間から離れた、大自然の最果てような所にある。


7時をすぎると大きな声が桃岩YHから聞こえてきた。

再び展望台に登ってみると、なんと20数名の若者たちが大きく脚を開いて並び、声援を送っている。

これが有名な「出発の儀式?」なのだろう。


このYHの情報はいろいろと調べてきた。以前来た時もそれはそれは日本一有名なYHであった。

一生の思い出に、一度泊まってみる価値はあると思ったが、あまりの”凄さ”に尻込みしてしまった。


香深港へ歩いて向かう帰り客を全員で見送るために、残りのメンバーが大声で送り出す。

姿が見えなくなるまで、「いってらっしゃーい」「またきまーす」のやり取りがずっと続く。

展望台からはその様子が良く見える。いったい何分続いただろうか。とにかく熱い熱い見送りだ。


礼文島とは今日でお別れだ。短かったけれど、やっぱり素晴らしい島だった。

港に着くと、すぐに桃岩YHの名物トラックもやってきた。いよいよ最大のお見送りショーが始まる。


フェリーが入港してくると、まずは「お出迎えの儀式?」が始まる。

これから一緒に時を過ごす仲間を全員で迎える。こんな出迎えをされただけでもう感激だろう。


そして出港の時間が近づくと、岸壁では日本一有名な「出港の儀式?」が始まる。

これはとにかく凄い。これを見に行くだけでも価値があるかもしれない。


最前列に並んだ若者がYHの先輩なのか? 踊りも声も一番激しい。

後列は先輩を見習って同じように大声で歌い始める。

何を歌っているのかさっぱりわからないが、とにかくその熱気と情熱は強烈だ。


いよいよフェリーが岸壁を離れる。紙テープが舞い、全ての人が笑顔で大きく手を振っている。

岸壁では、桃岩YHの踊りと歌声がさらに大きくなる。帰る人たちも、甲板から別れを惜しんでいる。


1977年、初めてこの光景を見た時にはさらに衝撃だった。

なんと岸壁にいたYHの若者たちが、次々と海に飛び込んだのだ。飛び込んでまで見送ってくれるとは!


あまりのシーンにもう自分の目にも涙が流れてきたのを覚えている。

今では、あまりに過激な見送りは禁止になったようで、さすがに飛び込む人はいない。


島の姿がどんどん小さくなっていっても、いつまでも手を振り続けている。とにかく感動的だ、礼文島は。

自分にはまったく関係ないお見送りシーンだったけれど、この島の人たちの暖かさを十分肌で感じた。


また来たいな、この島に。出港してすぐにまたそう思った。

稚内〜利尻島〜礼文島〜稚内 と4泊5日の離島旅だった。いやぁ、文句なし、最高の島旅だった。


そして久しぶりに稚内に戻ってきた。なんだか、とっても懐かしさを感じる。

この北海道ツーリング、これで終わりではない。今日を含めてまだ3日も走れる。

残り3日は、苫小牧に移動しながらショートコースを走る予定だ。


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