峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2004 >  大丹波峠・今川峠




昨夜は小菅の湯へ移動し、大きな駐車場で車中泊させてもらった。

夜になれば気温もかなり下がり、車の中でも寝袋が2枚は必要だった。


朝荷物を片付けていると、近所のご老人がこちらをしげしげと眺め、「あんた職人さんかい?」なんて聞いてくる。

あれこれ道具を出してはしまい、ニッカスタイルなのでそう見えたのかもしれない。

そんな朝を迎え、晩秋の奥多摩ツーリング二日目は、ゆっくりとしたスタートとなってしまった。
 


予定では、秘蔵版MTBツーリングブックより、「大丹波峠から鹿倉尾根」を行くつもりだった。

しかし今日は無理せず、大丹波峠の周回コースとすることにした。


体がかなり疲れていた。

やはり昨日は慣れない山岳ルートだったので、いつもとは違う疲労感だ。


それにしても、今日もまたこんな青空の中を走れるなんて幸せだ。

今日は荷物も少なめだ。厳しいコースではないので、食料も少ない。
 


すっかりMTBの走りに魅せられてしまった。

どんな路面も軽々と走破し、登りも下りもランドナーとは異次元の走りだ。


さすがに荷物の積載能力は劣るが、山岳サイクリングにはやはりMTBしかない。

”KLEIN ATTITUDE バックファイヤー”のフレームが、この秋景色にピッタリとマッチしている。
 


車道から右に分岐して大丹波峠へ向かう。

静かな山間部を登っていく。最初は舗装されていたがすぐにダートに変わった。
 


ほどなく、大丹波峠に到着した。

峠はとても広く、開放感のある広場になっている。
 


峠には案内板や地図が整備されていて、訪れる人にはわかりやすいだろう。

「大丹波峠から鹿倉尾根」のコースでは、ここから東へ分岐していく。
 


誰もいない。誰も来ない。そして何も聞こえない。

あちこち歩きまわって、静かな峠の雰囲気を味わい、カメラに収める。

いい峠だ。いろいろな峠を見てきたが、ここは広くて明るい峠だ。
 


峠からの下りは、雰囲気のある快適な山道が続く。

今日は自転車に荷物がないので、軽量MTBの威力を十分発揮できる。
 


途中でソロハイカーとすれ違う。別に自転車に驚きもせず、スタスタと通り過ぎてしまった。

こんな楽しい山道下りは初めてなので、ビデオをハンドルにセットして撮影しながら下る。


MTBの走破性はやっぱりすごい。

まあ、テクニックと度胸次第だが、ほとんどの所なら乗車したまま走り切れる山道だ。

この下りの楽しさにはまってしまったら、病みつきになるのがわかる。
 


撮影した動画はめちゃくちゃな映像で鑑賞に耐えないが、音声だけでもその雰囲気が十分味わえる。

こんな状況まで撮影しようというのだから、我ながら驚くばかり。


どうしても曲がり切れないタイトターンや、橋などでは降りざるをえない。

あくまでも無理は禁物だ。比較的安全な山道だが、ソロではその油断が命取りになる。
 


最後は少々荒れてきて、沢を行くようなところもあるが、しっかりとした道筋で迷うところはない。

林道に出るとそこは工事中で、現場には色々な資材が並んでいる。

ここまで降りてくればもう危険なところはないだろう。


下って、昨日のデポ地である丹波山温泉で大休止。

平日の月曜日だが、ちらほら観光客の姿が見える。

広々とした丹波川のほとりで、ベンチに座って一服する。
 


ここまでで今日の予定のほぼ半分だ。後半はまた山越えをしないといけない。

きれいな舗装路の登りが始まる。

交通量はほとんどないので、景色を眺めながらのんびり行く。
 


登っていくと、道端で大きな籠の中に落ち葉を集めているおじさんに出会った。

軽トラックの荷台に溢れんばかりの落ち葉を積んで、さらに周囲の側溝から拾い集めている。


ちょうど手が止まったところで話しかけてみた。

畑でいろいろ作物を作っているが、その腐葉土にするようだ。

それにしても随分と集めたものです。汗だくでした、お疲れ様です。
 


もうひと踏ん張り頑張るとピークに到着する。

地図上にも、道路脇にも何の標もないが、ここは標高947mの「今川峠」というらしい。



展望なく単なるピークのため、車やバイクはたただの通過点でしかない。

自転車にとっては非常にわかりやすいシンプルな峠越えだ。

ずっと登ってきた道が一気に下りに入る。かなりの急角度で視界が変化している。
 


豪快なダウンヒルだ。路面もよく、道幅も広く見通しもいい。

ブロックパターンの太いタイヤでも結構なスピードだ。もっと細いタイヤならさらに快適だろう。

しかし、ご機嫌に下っているときにトラブルが起きた。


突然フロントのエアーが抜け出し、急激にスピードが落ちた。

そしてあっという間にタイヤがベコベコにへこんでしまった。

何が起きたのかと見てみると・・・うわぁ!タイヤサイドがボロボロになっている!ギョエ〜!


もともと軽量のタイヤだったので、最近のハードなツーリングに耐えられなかったようだ。

日頃の点検不足が原因だが、まさかこんなになるなんて初めての経験だ。

当然、これ以上走ることはできない・・・うわぁどうしよう・・・
 


運がよかった。

もうほとんどゴールに近く、歩いて車に戻れる距離だ。


ベコベコのタイヤだが、少しでもリムに負担をかけないようにハンドルを持ち上げ気味で歩く。

フロントが軽くて助かった。トボトボ歩く姿は惨めだったが、それでも難なく車まで歩いて帰ってきた。


旅の最後のアクシデントで救われた。これが初日に起きていたら、旅が台無しになるところだった。

軽量タイヤは使う場所と、日ごろの点検が大切ですね。よーく勉強になりました。

最後はゆっくりと温泉で汗を流して、今回の晩秋ツーリングを締めくくった。
 


 

距離: 20.2 km 
所要時間: 5 時間25 分 0 秒
平均速度: 毎時  3.7 km
最小標高: 609 m
最大標高: 955 m
累積標高(登り): 932 m
累積標高(下り): 936 m

(2004/11/22 走行)


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