峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2004 >  安曇野・小熊山・八方尾根



長野県南安曇郡穂高町・大町市・北安曇郡白馬村



五月の連休、北アルプスへのツーリングが定番となってしまった。

大企業のように長い連休を取れれば、もう少し遠くへ行くこともできるのだが、3連休程度では、やはりこのあたりまでが限界だ。

今回のテーマは、やはり残雪の北アルプスがメインであるが、前回のツーリングの厄払いを兼ねているところもあった。

雄大な北アルプスをバックに、ランドナーで本来の走りを楽しむ。伝統的なツーリズムの世界と、峠越えの魅力にどっぷり浸かり、改めて自転車の魅力を再確認したかった。

大まかなルートだけ決めて、後は現地へ行ってから考えようと、周辺の地図をすべて持ち込み、帰宅後東京を離れた。


今年のゴールデンウィークは、前半は天気に恵まれ、かなりの渋滞が予想された。そのため、前日夜発としたのだが、それでも高速道路はかなりの交通量だった。

サービスエリアで仮眠後、松本からアルプス公園へ向かった。

初日のコースは、ここから明科方面へのんびりと辿り、長峰山からの展望を楽しんだ後、穂高周辺、安曇野の散策をプランニングした。

アルプス公園はかなりの高台にあり、車でもきついぐらいの坂を登っていく。

公園内はさすがに連休だけあって、早朝からにぎわっている。天気も最高で、さっそくランドナーを組み立て3日間のツーリングの開始となった。


犀川に沿って北上する。5月の気温はかなり高く、半袖・単パン、そして帽子というスタイルだ。

のんびりと平坦な道を行く。左手には残雪の北アルプス連峰が広がる。整備されたサイクリングロードにを快適に走り、公園でビール休憩。

初日のツーリングには、こうしたゆったりとした時間がありがたい。いきなり峠越えや、本格的な山岳では体と心が追いつかない。

今頃、高速道路は大渋滞であろうが、こちらはのどかなポタリングだ。やはり、前日夜出てきて正解だった。

長峰山からの展望は素晴らしいとガイドブックに書いてあったので、なんとか登りきりたいと思っていたが、予想以上にプロローグに時間がかかり、かなり足も出来上がってしまった。
 


明科の駅までは来たものの、時間配分から長峰山は断念することに。後半は、穂高周辺で、ビールでも飲みながらのんびり散歩しようと変更。

大王わさび農場周辺は、観光客で大渋滞だ。賢い人はレンタサイクルでスイスイと走り抜ける。

そう、ここは自転車が最高の移動手段なのだ。

この季節、早春賦の碑を中心に安曇野周辺を巡るサイクリングは、ちょっと出来すぎのポタリングだ。

ミニサイクル、二人乗りタンデム、そして電動サイクルまで登場し、結構見ているだけでも楽しい。

さすがに、ランドナーはいないけれど、自転車の素晴らしさを実感できるロケーションであることに間違いはない。
 


例によってその夜は、ゆーぷる木崎にて、温泉&食事という極楽コース。

走って、温泉に浸かって、そして飲んで・・・というフルコース。夜はカエルの大合唱と満天の星空に囲まれて車中泊。

目覚めるとすでに田植えの作業であたりはにぎやかだ。のんびり田植えを眺めながら朝飯を食べていると、目の前をランドナー軍団が通り過ぎた。

7,8台のTOEI、ALPSが気持ちよさそうに早朝の空気の中を走り去って行った。

飽きもせず、また小熊黒沢林道にやってきてしまった。

もう、これで確か4回目になる。何度来ても感動を与えてくれるこの林道は、最もお気に入りの林道だ。  
 


この天気なら、今回も間違いなく素敵なツーリングになると走る前から予感する。

木崎湖を眼下に眺めながら走り慣れた林道をゆっくり登っていく。

登るにつれ、そしてコーナーを曲がるにつれ、視界に入ってくるのは残雪の峰々だ。

4度目にしても、また鳥肌が立つほどのスケールで山並みが迫ってくる。

期待を裏切らないこの林道は、標高差、勾配、ロケーション、どれをとっても文句のつけようがない。

パラグライダー広場まで登ってくれば、一気に大パノラマが楽しめる。先ほどのランドナー軍団は、伴走車を連れていて、おじさんたちが陽気に話し込んでいた。

車は京都ナンバーであったが、かなり著名人も含まれていたのかもしれない。


パラグライダーの離陸の様子を見ながら一服しようと考えていたが、残念ながら本日は風が多少強く、離陸できそうもない。

飛び立てば、最高の眺めであろうが、せっかくここまで来ても風向き次第で飛び立てないというのは、あまりにかわいそうだ。

草地にひっくり返れば、雲ひとつない青空が広がり、吹き抜ける風が気持ちいい。

パラグライダーの方には申し訳ないが、こちらは心地よい休憩をとらせてもらった。

後半は、後立山連峰がぐっと近く迫ってくる。またまた、ここでも鳥肌ものだ。


 


昼のランチポイントは、前回と同じ鹿島槍スキー場だ。静かに、そして豪快な景色を堪能できる絶好の場所だ。

この時期、シーズン終了後のスキー場は意外と穴場だ。

訪れる人も少なく、積雪に注意すれば最高の雪景色を楽しみながらのツーリングを楽しめる。

今回は先客が一人くつろいでいた。

ALPSランドナーに乗った、ベテラン風のサイクリスト。挨拶を交わし、自分は定番のリフト乗り場に陣取る。

いいですね。この時間、この瞬間。

他に言葉は何もいりませんね。


ここからはほとんど下りだ。車も全く通らないので、センターラインど真ん中を両手離しでダウンヒル。

あんまり気分がよく、このままノンストップで車に戻ってはもったいない。時間もたっぷりあるし、再び田んぼ脇で休憩。

水田に映った景色が素晴らしく、思わずランドナーを構図に一枚。

今回はMTBも持ってきたけれど、こういう写真はやはりランドナーでないときまりませんね。

ハードなコースもいいけれど、こうしてゆっくりと、贅沢に時間を使うツーリングもいいものだ。

天気に恵まれ、コースに恵まれ本当にいい一日である。

 


ゆーぷる木崎に戻って、今度はプールでひと泳ぎだ。

最近は意外とプールを併設している施設も多くなり、水泳好きの自分にとってはうれしいかぎりだ。

体力が残っているときは、泳ぐことでクールダウンとマッサージ効果が得られる。

ただし泳ぎだすと熱中してしまうので、ほどほどにしないと翌日走れなくなってしまう。

プールの次は温泉&食事、の予定であったが、本日はゴールデンウィーク中とあって、とんでもない大混雑。入口に人が群がり、下駄箱も満杯状態だ。

「こりゃだめだ」と、さっさと諦め、今日の食事は車でキャンプと変更。

さっそくコンビニへ買出し。ほんと、ここはいろいろ揃っていて便利な所なのです。   


キャンプ場も満員御礼で、車やバイクが次々走り抜ける。そのヘッドライトがキラキラと綺麗に映し出される。

昨日と同じ場所で、誰にも邪魔されずに焚き火を楽しみながら明日の予定を考える。

翌日はまず車で栂池へ向かう。

自転車で走れる所があるのかわからないが、とりあえず行ってみる。ところが、そこはハイカーの人、人、人。車も動けないほどの大渋滞だ。

ちょうど塩の道祭りと重なって、散策どころの騒ぎではない。それでは、ということで向かったのは八方尾根の黒菱林道。

こちらは幸運なことに、途中で車両通行止めのため、自転車で走るには最高だ。さっそく行動開始。今日は荷物も少なめに、軽量MTBの出番だ。 


通行止めのゲートを抜け登り始める。今日はあいにく雲が多く、展望はあまり期待できない。

ロープーウェイを何度かくぐりスキー場に近づくと、春スキーを楽しむ人たちでかなり賑わっている。

あたりは冷気のおかげでかなり涼しく、下りは長袖が必要だ。

缶ビールを求めてスキーウェアで溢れるレストランに入るが、さすがに半袖・短パン姿は異様であった。  

一杯やっていると、どこから現れたか外人さんのMTB。

「コノヘンニ、クダルミチ、アリマスカ?」 と雪のないゲレンデを下るつもりらしい。

「さあ、ちょっとわかりませんねえ」 と答えると、あたりを見回して適当に下り始めた。
 


姿が見えなくなって2、3分して再び登ってきた。

「ウーン、ココジャナイ・・・ハア、ハア・・・」

どうしても諦めきれず、さらにウロウロ。そしてようやく見つけたらしく、「アア! ココカモシレナイ!」 と大喜び。

自分には、どうしても道のようには見えなかったが、外人さんさっそくカミカゼダウンヒル! かと思ったが、結構へっぴり腰で、10m先でコケていました。

最終日はこんなユニークな外人さんに笑わせていただきフィナーレとなった。

三日間のんびりと旅を満喫したおかげで、帰りの大渋滞も気にならない、大満足のツーリングであった。

 


 


峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2004 >  安曇野・小熊山・八方尾根

inserted by FC2 system