峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2002 >  御坂山塊


山梨県芦川村
林道「上芦川・蕪入沢線」の御坂町との境界から、稜線を歩き、黒岳、すずらん峠、新道峠、大石峠へと、御坂山塊を縦断する。新道峠、大石峠からの眺めは、長く左へ裾を引いた、富士山、そして山中湖とその手前眼下に、河口湖が広がっている。



晴天の続く10月中旬。日曜の晩から山梨県は御坂山塊へ出かける。
中央道の上りは35キロの大渋滞。きれいなヘッドライトの帯を右に眺めながら、こちらは快適そのもの。
一宮御坂から鳥坂トンネルを越えて芦川村へ。

日もすっかり落ちかなり冷え込んできた。大石峠への分岐の手前にちょっとしたオートキャンプ場がある。
誰もいなく、トイレにも鍵がかかっている。今夜はここですごさせてもらう。

見上げると何という星空。空気が澄み、雲一つない晴天のもとで、炭に火をつけ暖をとる。
気温は4度、持ってきたものをすべて着込む。音楽を聴きながら暖かいおでん三昧となる。

 


目覚めると、周囲は「秋」一色だ。落ち葉が積もり、すすきの穂が白く朝日に輝いている。
見事に晴れ渡った中、すずらん群生地へ車を走らせる。

多分昨日の日曜日はかなりの人で賑わったのであろうが、今日はほとんど誰もいない。
大きく開けた空き地に車を止め、セッティングする。

 


太陽が出てくればかなり暖かく、防寒着を一枚置いていく事にする。

今日のルートは、まずはすずらん峠へ押し上げる。
 


峠からは稜線沿いに新道峠、大石峠へとたどる。 大石峠を下って、車まで登り返すというコースだ。

いつもなら、峠を下って車に戻るというパターンであるが、今回は稜線沿いのルートに体力が必要と思われるため、元気なうちに大石峠まで行こうと考えた。
 


細身のタイヤできれいな舗装路を登っていく。

静かで暖かい日差しの中、すぐに体も温まり、うっすらと汗がにじんでくる。

 


すずらん峠の入り口がすぐに現れる。
この舗装路を真っ直ぐ行けば新道峠直下まで道は続いており、新道峠までは少し登れば手軽に行くことができる。

いきなり本格的かつぎかと思わせるが、すぐにしっかりとした歩きやすい山道が現れる。
ハイカーも多いのであろう、しっかりと踏み固められた山道は徐々に標高を上げ、青い空が近づいてくる。
 


明るい太陽の下、差し込む日差しが眩しく、木立の中でも楽しく自転車を押し上げていく。

一服して呼吸を整えると、すぐに体も冷えてくる。
さすがにこの時期、標高も1500m近くなってくると空気もかなり冷たくなってくる。

GPSの標高を頼りに一歩一歩押し上げる。
空はすぐそこに見えているのだが、なかなか峠にでない。

まあ、時間も早いことだしあせる事もない。

 


すずらん峠に出ると、目の前に富士山の姿が飛び込んでくる。この瞬間はなかなかの感動ものだ。 

辛い山道を押し上げて、ようやく空が目の高さと同じになった時、大きく開けたパノラマが現れる。
 


峠は木々が多少多く視界が悪いが、この先大石峠までは河口湖を眼下に、いたるところで富士山の姿が左手に見えるようになる。
 


この先しばらくは上質の山道が続き、かなり乗車率も高い。

細身のタイヤでも十分に走行が可能で、さらに本格的に装備してくれば、乗り降りする箇所、押し上げる場所も多少あるが、楽しく山道走行が可能だ。

とにかく、景色がすばらしい。
一気に走り抜けては本当にもったいなく、のんびり時間をかけて楽しむべきだ。

風もなく穏やかな天候に恵まれ、富士山の全景も河口湖の湖面もはっきりと見える。

登り返しでは息が切れるところもあるが、その場にひっくり返って空を見上げれば赤や黄色、そして空の青さに疲れも忘れてしまう。
 


新道峠へ向かう途中に絶景ポイントがある。
ここからは富士山の全容が目の前に広がり、逆光で光る河口湖が大きく見える。

左手を覗けば山中湖も小さく見えてくる。
富士山鑑賞のスポットは色々あるのだろうが、ここは私の知る限りベスト1であろう。

とにかく絵葉書にしたいほどよくできた構図で、写真好きにとっては思わず興奮してしまう場所だ。
 


ポカポカ陽気の中、ここでランチタイムにする。

こんな絶景のなか、靴を脱ぎ、ランチタイムを楽しむ。そしてお昼寝。なんて幸せなひと時なのだろう。

さすがにこれだけいい場所となると、自分ひとりというわけにも行かず、2,3組のハイカーとすれ違う。
自転車も珍しくないのか、何も言わずにすれ違っていく。

まあ、確かに新道峠から来れば、わけなくこの稜線に出られるわけであるから、自転車を見てもそれほど驚かないのかもしれない。

新道峠からは車道へ降りる分岐があるが、そのまま大石峠方面へ進む。
 


相変わらず富士山は左手に良く見えるが、やはり先ほどのポイントが最高だろう。

道は多少荒れてくる。
「大石」というだけに次第に岩が現れ始め、岩山をよじ登るような難所も現れる。

まあ、それでも犬を連れて反対方向から登ってくる人もいるぐらいだから、厄介な場所があるとは言え、軽量のMTBと、しっかりとした靴があれば何とかなる。

標識が整備されているので大石峠までの時間もわかり易い。
できるだけ乗車できるところは乗り、山道下りを楽しむ。

危ないと思ったら迷わず降り、無謀なダウンヒルを慎む。
 


大石峠は大きく開けた広場になっている。

ここからの富士は何もさえぎるものがないため、最もその全景が良く見える。
 


とにかく空が広く、ひっくり返って空を見上げると、視界には空の青さしか入ってこない。

時々富士演習場からか、ヘリコプターが上空を横切っていく。

大地に横になっている自分はヘリからどのように見えているのだろうか、なんて思いながら草地に寝そべっていた。

 


大石峠の下りはかなり険しい。こちらから登ってこなくて正解だったと思った。

勾配がかなりきつく、そしてルートも長く感じられる。

本当はいきなり大石峠に出たほうがこの景色に感動するのであるが、こちらからすずらん峠までのルートは、かなり体力を必要とする。
 


この下り、急角度の九十九折れ、自分には到底クリアする自信はなく、ほとんど押して下っていく。

長い山道を降り舗装の車道に出る。ここからは落ち葉の積もる路面を注意深く下っていく。

路面の落ち葉と、日差しを浴びた木々の緑が美しく、素敵な秋の林道ダウンヒルに魅せられる。
 


これで車が下にあれば最高なのだが、ここから400m近く登り返さなければいけない。

わかっていながら辛いひと時だ。

ここからのヒルクライムは馬鹿にできない。距離は短いものの直線的なきつい登りがずっと続く。
 


ある程度「足」を残しておかないと、延々歩くことになる。

やっとの思いで車に戻り、日没前に河口湖へ抜ける。

最後は温泉に浸かり、ほうとうを味わって締めくくった。

 

距離: 12.5 km
所要時間: 8 時間 00 分 00 秒
平均速度: 毎時 1.6 km
最小標高: 1364 m
最大標高: 1397 m
累積標高(登り): 936 m
累積標高(下り): 936 m

(2002/10/28 走行)


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