峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2002 >  平丸峠



長野県飯山市/新潟県新井市(標高808m)



越えられない峠ばかりで、今日も不安の朝を迎える。

関田峠はタクシーの運転手の情報では、全く無理とのこと。

しかし、車で確認しに行こうと早朝から走ってみるが、標高880m付近で完璧に雪に阻まれた。


次に平丸峠を見に行く。車で事前に調査するなんて馬鹿なことはしたくなかったが、この状況ではしかたがなかった。

ここも越えられないとなると、予定が全く立たなくなる。

なんとか雪がないようにと祈りながら、あっという間に峠間近の展望台まで登りつめた。


この素晴らしい感動を真面目に味わいたかったが、ルートの確認が取れたことでようやく一安心。

再び車で戸狩野沢温泉駅に戻り、振り出しとなった。
 


今日は、平丸峠を越えて新井駅まで走り、輪行で戻ってくるという、「真面目な」ツーリングなものだから、やっとルート確認がとれて、安心して走り出せる。

天気もようやく回復し、青空が見え始めた。


車では難なく登ってしまったが、さて自転車となると、かなり厳しいヒルクライムである。

はるか上空にはNTTのアンテナが見え、「あそこまで登るんかい!」、と溜息をつく。

しかし、登るにつれ視界はぐんぐん開け、先ほど車で登った時とは比べようもない満足感を味わえる。
 


ほとんど乗ることができず、ずっと押しっぱなしである。

かなり汗をかき、全身汗だく。ただし、下りに備えてしっかりニッカーと長袖は用意してある。


車での関田山脈越えはどこも厳しいため、唯一越えられるこの平丸峠も、皆敬遠してほとんど交通量がない。

おかげで、眼下に広がる飯山盆地を眺めながら、静かに一人峠越えを楽しむことができる。


峠手前の分岐を右に登っていくと、大展望広場に出る。

ここはパラグライダーの離陸ポイントになっていて、十数名の若者がにぎやかにパラグライダーのセッティングをしている。
 


どこまでも見渡せる大展望を目の前にランチタイムとする。

いい景色を肴に、パラグライダーの離陸を楽しもうと思っていたのだが、吹き抜ける風が異常に激しく、一気に汗も引き、ついには寒くてたまらなくなってきた。


吐き息も白く、周囲にモヤが立ち込め、穏やかなヒルクライムの時からは考えれないような悪天候に急変した。

パラグライダーの面々も、せっかく組み上げた機材をしかたなく片付け始めた。

優雅な飛行を楽しみにしていたのだが、とんでもない天気になってしまい、皆車の屋根に積み込み、さっさといなくなってしまった。そして、また一人になってしまった。
 


頑張って寒い中、ランチタイムを楽しんでいたのだが、ついに限界を越え退散する始末。

全身が冷え切ってしまうほどの強風で、体感温度は真冬並だった。


平丸峠は、分岐地点からすぐ先にある。目立たない所に峠の石碑があるので、注意しないと見落としてしまうだろう。

かなり傾きかけた石碑に大きく「平丸峠」と刻まれている。


峠付近は、先ほどの強風が嘘のように静まり、着込んだ雨具も不要になってくる。

上平丸から下平丸へと雰囲気のある下りを味わいながら、快適なダウンヒルがしばらく続く。

新井駅からは豊野経由で戸狩野沢温泉駅までローカル線の旅を楽しみ、その後は温泉で疲れを癒し、居酒屋で締めくくった。
 

 


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