峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2001 >  田代・小松原林道



新潟県南魚沼郡湯沢町/中魚沼郡津南町



例年ならば、今頃夏休みをとって、キャンピングに出かけているのだが、今年は仕事の都合上まとまった休みがとれず、しかたなく、夜行日帰りのツーリングを計画した。

関越のサービスエリアで仮眠して、翌朝早くに七つ釜キャンプ場に到着した。小さなキャンプ場で、2組のテントが張られていた。

さっそくランドナーを組み立てるが、天気は残念ながら良くない。空一面灰色に覆われ、天気予報もこれからさらに悪くなると言っている。

まあ、今日は林道がメインだから、最悪降られてもそれほど危険な場所ではない。早めに行動して、降られる前に戻れたらラッキーと考えよう。

改めて地図を眺めてみると、今日のコースは標高差が合計1000mにもなる。現役バリバリの頃ならまだしも、最近は1000mが限界で、これ以上は完全に足が死んでしまう。


そんなことから、できるだけ早い時間に走り出したいということで、7:30に七つ釜キャンプ場を後にした。

田代林道はゲート封鎖されており、一般車は侵入できないが、オフロードバイクも入って行くので気にせず走り出す。

路面の前半は、きれいな舗装で、静かな林間の中、準備運動もなしに、いきなり登りが待っている。

風もなく蒸し暑く、視界も開けず、薄暗い林道を一人静かに行く。今日は、先日購入したハンディGPSを持ってきた。まだ使い方が良くわからないので、とりあえずハンドルにセットしてログを採りはじめた。

GPSは視界が開けず、空も木々で覆われているような所でも衛星の受信感度はよく、すぐに現在地、標高、進行方向を確認できる。これは楽しい、ということで、変化のない林道の登りでは、GPSをいじってばかりいた。


田代林道終点までは距離も長く、標高差も一気に600m近く登るとあって、かなり体力を消耗する。

舗装も途切れ、ダートが現れてくる。砂利が深く、押すにもグリップが悪く苦労する。すでに2時間経過し、空腹になってきて、天気が崩れる前に昼にしたいと考える。

10時に小松原林道と合流。天気がますます怪しくなってきたので、ここで昼飯にする。

ラジオからは大雨の注意報が何度も聞こえてくる。空も、周囲も白く霞んできており、のんびりしてはいられないと、早めに切り上げ先を急ぐ。

ついに雨が降り始めた。突然物凄いスコールに見舞われ、慌てて雨具を着込む。ピーク地点まではまだ距離もあり、雨が降る中辛い山道になってきた。路面は次第に荒れ始め、こぶし大の石が転がり始めてきた。

 


ランドナーの38Bタイヤではかなり状況が悪く、乗ることもできず押して歩く場面が多くなってくる。

スコールのためか、道が川と化し、靴まで浸かってしまうほどの水量が流れている。しかたなく、自転車を担ぎ、バランスをとりながら、石の上を足場を確保しながら下っていく。 また、路面が大きく崩壊している箇所もあり、かなり地盤が緩んでいるようだ。

視界がほとんどなくなり、前も後も真っ白になってきた。時刻は昼過ぎだというのに薄暗く、状況としてはほとんど最低になってきた。

雨が小降りになれば、こんどは雨具のおかげでサウナ状態に。いくらゴアテックスとはいえ、体から発散される熱を、そう簡単に外に逃がしてはくれない。

周囲を見渡しても、雨宿りするものは何もなく、ただひたすら前に進むしかない。靴も濡れ、かなりサバイバルに近い状態になってきた。

 


ようやく平坦になり、小松原湿原入り口までやってくる。

久しぶりに見る人工物。トイレが設置されおり、やっと落ち着きを取り戻す。気がつくと野良犬であろうか、自分に近寄ってくる。こんなところに何でいるのか、どこから現れたのか不思議でならないが、自分以外の生き物を目にしてなんとなくほっとしてしまった。

小松原湿原を散策したかったのだが、この状況ではそんな気分になれず、先を急ぐことにした。

いよいよダウンヒル。標高差は1000mある。路面がよくて、もっと太いタイヤで、そして天気がよければ豪快にダウンヒルを楽しめるのであるが、この路面の悪さに、リアのガードを止めている上ブリッジの部分が破損してしまい、ガードが緩み始めた。

まあ、走るには支障がないので気にせずダウンヒルを楽しむ。
雨で効かなくなったブレーキをずっと握り締め、路面を慎重に選びながら下っていくが、結構疲れるダウンヒルだ。

 


下りきるとゲートが現れる。ゲートを越え、久しぶりに舗装の路面が現れる。

長いことダートを走ってくると、この舗装路の快適さがたまらない。サドルに腰を落とせるし、ブレーキレバーからも解放される。そんな気持ちになれる林道であった。

車までは、再び登らなければならない。フィナーレの登りは、たいした勾配ではないものの、疲れ果てた体にとどめをさすようであった。

疲れ果てた体を「清津峡ホテルせとぐち」で癒す。

趣のある宿で、湯に浸かり、今日一日の辛かったツーリングを振り返る。天気には恵まれなかったが、かなり走りごたえ十分な林道であった。

最後の締めくくりに、「とろろ御膳」を味わう。疲れた体に、この素朴な味が最高で、できれば泊まってしまいたいほど気に入ってしまった。

 

 


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