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1992/8/15(土)

昨夜は遅くまで笑って、踊って、そして急な雨に打たれて、びしょ濡れで車に戻ってきた。

楽しかった思い出に、日が変わるまで楽しく飲んでいた。

我々はテント泊、Kさんは車中泊で最後の夜を迎えた。


翌日、ようやく太陽が顔を出してくれた。久しぶりにいい天気になった。

朝食はカップ麺におにぎりだ。ろくな食事をしていないが、それでも昨日の余韻で胸いっぱいだ。

 


いよいよKさんとお別れだ。3泊一緒に過ごしたが、とにかく波乱続きの旅だった。

いい歳した大人がやるような旅ではないが、なかなか経験できない旅でもある。


Kさんのおかげで四国の魅力を思う存分味わせてもらった。本当に感謝の念で一杯だ。

Kさんと別れて、さっそくキャンプ道具を宅急便で送り返す。


最後の夜は旅館に泊まるため、身の回りの物以外は不要だ。

ダンボールをもらって、サイドバッグを片づけると、久しぶりに身軽なランドナーに戻った。


徳島駅から輪行して高松駅へ。サイドバッグがないと、輪行も本当に楽だ。

組み立てて、高松港まで走りフェリーに乗船する。この旅の最後は小豆島へ渡る。
 


帰省ラッシュと観光で、フェリーも混雑している。車、バイクも列をなして乗船を待っている。

移動の連続で慌ただしかった数日だったが、出港するとようやくゆっくりとした時間がやってきた。


土庄港へ着き、今日はそのまま旅館に直行だ。

最後はちょっと奮発して、観海楼という高級旅館に泊まることに。


今日は泊るところ、風呂、買い出し、食事、水、トイレ、灯りの心配がいらない。

旅館に泊まるって、なんて楽なのだろうとこの日は実感した。


夕食は最後の客になるまで、たっぷり楽しませてもらった。

陽気なおじさん二人は、食後部屋に戻って阿波踊りの復習だ。

あのメロディーがいつまでも頭の中から離れず、ついつい踊りたくなってしまう。あー楽しかった、阿波踊り!
 


1992/8/16(日)

久しぶりにゆっくりとした朝、そしてぐっすり眠れた朝をむかえた。

部屋の窓からは、朝日とともに、穏やかな瀬戸内海の海が広がる。

M氏は得意の水彩画を一枚さっと描く。昨日まではこんな余裕はなかったので、やっと道具のお披露目となった。


良く晴れた朝になった。昨日もほとんど走っていないので、やっとまじめに走れそうだ。

この旅の前半で負った傷も回復し、体力も戻った。荷物も少なく、今日は快適に走れそうだ。
 


まずは小豆島霊場第四十番 保安寺へ立ち寄ってみる。

保安寺は立派な石垣に囲まれ、大きな山門に鐘がぶら下がっている。

静かに鐘をついてみると、美しい鐘の音が静かな山あいに響き渡った。
 


本格的な真夏の陽気になった。海水浴場は多くの人で賑わっている。

素晴らしい環境だ。穏やかな海と、美しい景色を前に泳げるなんて羨ましい限りだ。
 


「二十四の瞳映画村」までは結構距離がある。内海湾をぐるっと回りこんだ先端に映画村がある。

往復するだけで1時間以上の時間が必要だが、ここだけはやはり見ておかないといけない観光地だろう。


一歩中に足を踏み入れると、そこはまるで昭和初期。

映画のロケで使用された小道具や、数々の写真が展示されている。


懐かしい、どこか昔に見たことがあるような風景が広がっていた。

多くの観光客でにぎわう映画村を後にして、来た道を再び戻る。
 


15:30福田港発のフェリーに乗るために、海岸線を走り始める。

細かな起伏が連続する道筋にキャンプ場の入口があった。


「水のきれいな海水浴・キャンプ場」「小豆島グリーンランドキャンプ場」と書かれている。

砂浜までかなりの落差だ。こんなところでキャンプしたら、最高の夜だろうな・・・と感じる。
 


福田港を目指して、炎天下の中を頑張って飛ばす。福田港へ着くと、かなりの乗客で賑わっている。

お盆も終わりとなると、各交通機関はどこも大混雑だ。しかし、自転車2台程度なら難なく乗船できる。
 


福田港から姫路港まで1時間40分の船旅だ。

揺れることもなく、ゆっくりと流れていく島の景色が間近で楽しめる。


そして姫路港からは姫路駅まで最後の走りだ。大自然から大都会に移動してくると、現実に引き戻される。

いよいよこれで旅も終わり。輪行して新幹線に乗車。当然満員で座れず。


予想はしていたので、得意の空いている車両のドア付近を狙って、椅子を取り出して座る。

荷物を送り返しても、この椅子だけはしっかり持っているところがベテランでしょ。
 


長い長い9日間のキャンピングだった。とりあえず無事に帰路につけてホッとした。

四国は広かった。移動だらけの旅になってしまった。そして予想以上に険しい道が多かった。


初めての四国で欲張ってしまったが、四国はエリアを絞って集中的に走るべきだと感じた。

色々と反省点も多かったが、それにしても”暑い””熱い”四国の魅力に満たされた旅であった。
 

(1992年8月 走行)


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