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1992/8/7(金)

21:00発 「寝台特急瀬戸 高松行」が入線してきた。

これに乗車すれば、翌日には四国の地へ降り立つことができる。

今年の夏休みは、M氏と二人で自転車仲間の待つ四国を巡る旅となった。
 


寝台車の上段を2つ確保し、キャンプ道具満載のサイドバッグ、クーラーBOXを片づける。

下段よりも、上段の方がいろいろとスペースがあって我々には都合がいい。


輪行キャンピングはとにかく大変。無事に乗車でき、さっそく冷えたビールで乾杯だ。

滅多に乗れない寝台列車。上段での静かな宴会も旅情満点だった。
 

1992/8/8(土)

目覚めればもう瀬戸大橋だ。

大小さまざまな島が眼下に広がる。その上を揺れることもなく、滑るように通過していく列車。

すごい橋を作ったものだと、ただただ感動する。
 


四国は結構広い。欲張って全部走ろうと思ったらとんでもない距離になる。

9日間のキャンピングのスタートは、四国の最奥地、高知県の中村駅まで一気に行くことにした。


特急瀬戸から乗り換え、さらに数時間かかってようやく中村駅へ。

しかし、生憎天気は荒れ模様。これから台風がやって来るという最悪のスタートとなった。


いきなり初日から出鼻をくじかれ、無理せずすぐに旅館に逃げ込む。ということで、初日は走行0。

開き直って、強風の中、早い時間から宴会モードだ。まあ、こうなりゃゆっくり作戦でも立てますかね・・・と。
 


1992/8/9(日)

台風一過でいい天気になった。さっそく荷物ををセットし、いよいよスタートだ。

夏のキャンピングに欠かせないのが、このクーラーBOXだ。


こんなでかいモノ・・・なんで? と思うのは当然。もちろん、これは冷えたビールを運ぶためだ。

キャンプサイトで冷えたビールをいただくには、しっかりした保冷が必要。


このクーラーBOX内に、350ccの缶ビールが9本ピッタリ入る。500ccだと隙間ができてしまう。

さすがに二人でこれだけ飲めれば十分だ。真夏のキャンプには、無理してでもこれを持っていきたかった。

 


重量級の自転車で走り出す。

いやぁ、とにかく重い。これで走れるのかというぐらいのハンドルの重さだ。


まずは「安並水車の里」へ見学に。

素敵な水車の風景が見れるかと思ったら、水車も止まったままで残念。
 


さて足摺岬へ向かいましょう・・・と走っていると、突然後ろから「うわぁぁ!」という絶叫が聞こえてきた。

ビックリしてすぐに振り返ると、なんとM氏の自転車が”ジャックナイフ”状態で垂直状態になっている!!


まさに逆立ち状態で、一瞬静止したその後激しく倒れ、写真のように・・・

すぐさま駆け寄ってみると、本人はかすりキズ程度だが、なんとフロントのガードがへの字に曲がっている。


どうやらフロントに荷重がかかりすぎで、段差に突っ込んだはずみで前転しかけたような感じだ。

スタートしてまだ1時間、早くも大きなアクシデントに見舞われてしまった。
 


星野さんに組んでもらった、531フレームの新車がこんな悲惨な姿に・・・

被害の状況を調べてみると、どうやら柔らかいガードが曲がっただけで、他にキズは見当たらない。


フォークも大丈夫そうだが、内蔵の電装ケーブルが断線してしまったようだ。

ガードを頑張って直そうとしたが無理で、結局フロントガードは処分することに。

なんとか気を取り直して走り出す。いやはや、この先何やら不吉な予感・・・
 


炎天下の中、足摺岬への道は遠かった。

ジリジリ焼き付ける太陽、海岸線沿いの小刻みなアップダウンが体力を消耗する。

まだ体が暑さに慣れない中、かなりハードな初日になった。
 


足摺岬は明日行くことにし、近くのキャンプ場で本日は終了。

キャンプ場までもしっかりと登らされて、もう疲労困憊。


テントを設営し、身軽になって買い出しに行く。まあ、キャンピングってホント忙しくて大変だ。

ここのキャンプ場は、ただ広いだけで設備は水場があるだけ。おかげで、我々のほかにもう一組いるだけだ。

おかげで、自由に好きな場所にテントを張ることができた。
 


ようやく初日の夜を迎えることができた。大変なスタートだったが、やっぱりキャンプは最高だ。

4人用ドームテントにタープを持っているから、多少の雨や直射日光も防ぐことができる。


さらに折りたたみ椅子もあるので、食事するのに快適だ。

こうして設営したキャンプサイトを眺めると、よく自転車にこれだけ積めるな、と驚いてしまう。

本日の走行距離78km。
 


1992/8/10(月)

キャンプ場に荷物を置いて、フロントバッグのみで足摺岬へ向かう。

サイドバッグがないと、恐ろしいほどハンドルが軽く、走りも別次元だ。

真夏の四国最南端はとにかく暑かった。無事に到着した・・・ならよかったのだが・・・実は・・・
 


足摺岬へ向かう途中、細い道で後ろから来た乗用車が、いきなりM氏に幅寄せしてきた。

車は何かを避けようとしたのか、突然のことでM氏は逃げる間もなく左の壁に接触、そして急停止。


乗用車は全く気が付いていないようで、そのまま走り去る。

M氏、大声をあげながら車を追いかけるが追いつかず・・・その結果こんな被害を負ってしまった。


右手のひら、左ひじ負傷。左ブレーキレバーパッド破損、ボトル紛失・・・あぁ、今日も不運な始まりだ。

その後、派出所へ行って状況を報告。診療所を紹介してもらって治療する羽目になった。
 


連日の猛暑、いきなり新車の事故、破損、そして今日の負傷・・・M氏は体力的にも、精神的にもかなり参ってきた。

体調も悪化し、お腹の具合もよくない・・・さすがにこれ以上の走行は無理だと判断。


土佐清水より急遽バス輪行をすることに。一気に宿毛経由で宇和島まで移動することにした。

全身疲労の中、力も尽き、痛みと闘いながらフラフラ状態で輪行する。なんて過酷な労働なんだ・・・
 


四国最南端までやってきて、こんな”災難”に見舞われるとは思ってもみなかった。

さてこの先、いったいどうなってしまうのだろうか・・・旅は続けられるのだろうか・・・続く。
 

(1992年8月 走行)


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